一つの夢は東京オリンピックに携わること。ハサミを置いた美容師が目指すグローバルな組織とは? ―10年サロン「SHINKA」のブランディングストーリー後編
2017年〜現在 経営専念期
新卒の教育システムを改善し、生まれたシドニーと東京の相乗効果
現在は、しっかりと腰を据えて働いてもらえるように、会社としてはビザの申請、長期のビジネスビザ、永住権の獲得に向けた雇用のプロセス、シドニーで社宅の完備など、こちらもできる限りのサポートをしています。
2017年からは、新卒の教育方法も少し変えました。入社した年ごとに1期生、2期生と分けて、さらにその中で前期・中期・後期という3つのプログラムを用意しているんです。
前期は、1年目からシドニーへ行き、英語を中心に学びながら技術も勉強するタイプ。2年目で日本に戻ってきて、技術を学んでスタイリストデビューします。中期は逆に1年目は日本で技術を学び、2〜3年目にシドニーへ行き語学と技術をバランスよく学びます。後期は日本でスタイリストデビューしてから、技術者としてシドニーへ挑戦しに行くプログラムです。
現在は離れていた同期が混ざり合い、切磋琢磨している姿が印象的です。シドニーにいたスタッフは日本にいたスタッフよりも英語ができるようになっているのですが、日本にいたスタッフはシドニーのスタッフより技術に関しては上。お互い負けないようにと刺激し合い、いい相乗効果が生まれているようです。
40歳のタイミングで美容師を引退。経営に専念して手が回らなかったことができるようになった
40歳を機に2018年9月で美容師を引退して経営に専念することにしました。もともと美容師に憧れてこの業界に入りましたが、名プレイヤーが何もせずそのまま名監督になれるわけではありません。きちんと自分の役割を果たすために、経営学のことをしっかり学び、スタッフ一人ひとりを分析してそれぞれの強みを生かせるような環境を作りたいと思ったんです。
実際に半年ほど経営に専念してみましたが、この決断は正解だったと思います。それまでは会社説明会を充実させたい、スタッフの福利厚生についてもっとしっかり考えたいなど、やりたいと思っていたことができなかったんです。プレイングマネージャーだとそこまで手が回りませんでしたが、今は余裕を持って考えることができています。