震災翌日もオープンしないと店が潰れる状態。大赤字でも2店舗目を出店した理由—10年サロン「NORA」のブランディングストーリー前編

2009年〜2013年 苦渋のどん底期

「絶対に失敗するからやめろ」。税理士の忠告を聞かず新店舗を契約

 

 

2009年11月、それまでの青山の骨董通りから表参道に拡張移転しました。店の広さは74坪。これまでの約3倍になります。

 

本当はもっと小さなところを探していたのですが、ちょうどいい物件が見つからなかったことと、リーマンショック後だったこともあり、その物件が少し値下げをしてくれたことが後押しになりました。

 

税理士さんからは「絶対に失敗するから移転はやめろ」と言われていました。「君たちは若くて好調だからわかってないけど、今はこれまでの技術や信用でたまたまうまくいっているだけで、店の施策やブランディングの成果じゃない」と。

 

ただやっぱり、当時は調子に乗っていたんですよね。スタッフの家族含め、30人くらいの旅費を会社で負担し、社員旅行として沖縄にも行っていました(笑)。物件を決めたのも沖縄でのこと。みんなで食事をしながら「こんな物件があって、東京に戻った次の日には契約をしないといけない。どうする?」と聞いたら「やろう」と全員が賛成したので契約を決めました。

 

だけど冷静に考えいますから。当時は忙しすぎてマネジメントなんて考える余裕もなかったですし、経営者としての仕事なんてできていなくて、たまたま売上のいい人が集まっていただけだったんです。

 

毎月100〜200万円の赤字。経営不振に震災が重なり…

 

2009年に拡張移転を果たしたNORA。このころから花屋とコラボをするなどユニークな取り組みをしていました。

 

移転してからは地獄の日々でした。借りている資金は半年で尽き、毎月100〜200万円の赤字。僕はあまりストレスを感じない性格なのですが、このときばかりは明日の支払いのことを考えて夜も眠れませんでした。

 

そんな日々が2年ほど続き、育てていた新人がデビューしてようやく持ち直してきたところに、東日本大震災が起きました。「やっと立て直せる!」と思ったタイミングでの震災に「もう終わった」と思いましたね。

 

震災が起きたのは金曜日。ですが、土日の売上がなくなれば経営的には致命的です。翌日、周りの美容室がどこもクローズしている中、うちだけオープンしていました。スタッフは反発しましたが、やらないと潰れる状態だったので、どうにか協力してもらいオープンさせたんです。

 

ただ、逆に開き直った部分もあります。こんなどん底の状況を味わったのだから、「もう次はないだろう。これ以上最悪なことはないはずだ」と、腹をくくれた気がします。

 

>『NORA Journey』はオープンする予定ではなかった。新店オープンの裏側。

 

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