日本でお店を作る気はなかったのに。店舗展開を続けてきた経営の裏側 ―10年サロン「ASSORT」のブランディングストーリー前編
2014年〜2016年 店舗展開期
海外出店が続き、インターナショナルなサロンとして着実にブランディングが進む
海外展開はその後も2015年の『ASSORT HONG KONG』、2016年の『VACANCY PROJECT』と続きます。香港への出店は個人的に大きな体験でした。僕はアメリカ人であり日本人でもあるので、アメリカも日本もホームなんです。その意味で、香港ははじめての海外進出だと思っていました。
香港は僕もビザを取得していないので、ニューヨークのように僕が働くという選択肢がありません。スタッフのビザが無事に下りるまでは本当に緊張しました。このころには東京とニューヨークで『ASSORT』の知名度があったので、香港の売上も初期から好調でした。
『VACANCY PROJECT』をオープンしたのは、『ASSORT NEW YORK』の隣の店舗が空いたことがきっかけ。自分のブランドを作りたいと言っていたスタッフがいたので、声をかけたんです。彼女は「ジェンダーレスサロンをやりたい」と言っていたので、そのコンセプトに任せました。そうしたらすぐに軌道に乗り、今では現地の外国人から人気のサロンになっています。
日本人をターゲットにした新ブランドで初の苦戦を味わう
海外展開する一方で、国内でも店舗を展開していました。2014年には「大人のためのヘアサロン」をテーマにした新ブランド『CLASS AOYAMA』をオープンします。国内に関しては「コップがいっぱいになったら出す」というのが方針。『ASSORT TOKYO』はすでにスタッフがいっぱいで、スタイリストが新たにデビューしても席が空いていない状況だったんです。
国内2店舗目を『ASSORT』と違う新ブランドにしたのは、「International Hair Salon」以外のコンセプトで勝負してみたかったから。当時少子高齢化が話題になっていたので、大人のためのヘアサロンを作れば、年齢の上がった社員も働き続けられると考えました。
2015年には、また新ブランド『CORRER』をオープンします。「おしゃれ女子のためのヘアサロン」として、日本の若い子をターゲットにしたブランドです。原宿の一等地の新築物件と契約し、勝負に出たのですが、国内3店舗目にもなるとマネジメントや人事異動、ブランディングなどにかなり苦戦し、1年近く赤字が続きました。
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