店を畳んで単身ロシアへ! 42歳で飛び込んだ美容師の挑戦 ― ロシア初の日系美容室「Kirameki Moscow」宮里俊介さん

オープン延期…さっそく“洗礼”を受けたロシアでのスタート

 

 

ところが、驚いたことに私が到着した7月時点で内装工事がまったく進んでいなかったんです。現地で準備を進めていた廣瀬も想定外だったようで、出鼻がくじかれたような格好になってしまいました。

 

実は、期待の高さから事前予約もかなり入っていたんです。でも、工事が整わずオープンが延期になり、心待ちにしてくれていた人たちにも不安が広がっていって…とても焦りましたね。いよいよオープンとなったときも、見切り発車というか、まだオペレーションやホスピタリティが安定しない中でのご案内となってしまって、最初はお客さまの期待に応えられなかったこともありました。

 

徐々に安定してきたのはオープニングキャンペーンをしてから。Facebookを使っての告知で、多くの日本人のお客さまが来店してくれるようになってきました。

 

 

現在もお客さまの大半が駐在している日本人です。平日は午前中からお昼にかけて主に女性が来店し、夕方から会社帰りのビシネスマンが来店、というようなスケジュールが多いですね。週末には10:00〜22:00まで満席に近い状態になることもあります。また、まだわずかではありますが、現地ロシアの方が来店されることもありますよ。

 

「これまで現地の美容室には行けなかった」お客さまが抱えていた、ロシア特有の悩み

 

 

日本人のお客さまは、やはり髪について悩んでいたようで、現地の美容室でのコミュニケーションやスタイルへの不安から「うまくいかないので、いつも同じ髪型で我慢していた」「現地の美容室に行く勇気がなく、ずっと伸ばして一つに結んでいた」「カラーをしたかったけど、どう希望を伝えればいいかもどんな施術になるかもわからず、怖くてできなかった」という声をよく聞きました。

 

また、ロシアならではの問題を抱えている方もいました。例えば、ロシアは日本に比べ空気が乾燥しています。そのうえ、水道水が硬水で塩素が強い。そのため「乾燥して髪がパサつく」「静電気で広がる」という方が多いんです。

 

お客さまだけではなぜパサつきが広がるのか、現地で手に入るもので何を使ってどのようにケアをすればいいのか、なかなかわかりませんよね。スタイルにしても、パサつきにしても、日本人の美容師なら安心して相談できますし、実際サロンワークではお客さまに喜んでいただけていると実感しています。だからこそ、お客さまも少しずつ増え、現地での認知が広がってきているのではないでしょうか。

 

2019年の年末に日本へ一時帰国したのですが、空港で顔を合わせる日本人がほとんどお客さまだったんです。しかも行き帰り共に隣の席もお客さまで。「新年あけましておめでとうございます」と挨拶をし合って…(笑)。オープンして半年にしてはかなり認知されているなと感じた出来事でした。

 

一方、ロシア人のお客さまは、もともと日本文化やジャパンブランドに関心がある方が多く、日本のスタイルだとどうなるのか興味を持って来店される方がほとんど。そのため、お悩みや希望スタイルのイメージもなく「すべておまかせで」と言われることが多いです。

 

最初のうちは、「おまかせ」と言われても何のとっかかりもなく、戸惑いました。でも、ロシアのサロンをリサーチして、少しずつロシア人のサロンワークの様子や一般的なヘアスタイルを知り、通訳を介しながらもお客さまとコミュニケーションをとっていく中で、お客さまはロシアのトレンドとは関係なく「日本式」を試してみたいという気持ちが強いことが理解できてきたので、今ではなんとか対応できています。

 

 

ロシア人のお客さまのbefore(左)、after(右)

 

>ロシアで「天にも昇るよう」と絶賛された、日本の技術とは…?

 

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