【波巻きパーマの匠・貴龍】カットとパーマの連動性を重視したワインディングを理論化。オリジナルメソッド「Y.O.G.パーマ」で表現するメンズヘア
表参道のサロン『RESSUAL recta(レジュアル レクタ)』でディレクターを務める貴龍(よしたつ)さんは、有名店で11年間キャリアを積み、オリジナルのパーマメソッド”Y.O.G.パーマ”を確立したパーマのスペシャリスト。”波巻き”を皮切りに幅広いデザインパーマを考案し、昨年1月にはメンズパーマのハウツー本「Y.O.G.パーマメソッド」も出版。業界で多くの注目を集めています。もともとレディースヘアを担当していた貴龍さんがメンズパーマへとシフトした経緯、そしてパーマへの思い入れや今後の展開などをインタビューしました。
男性客にすすめたパーマが口コミで広がり…男性客が倍増
美容学校時代は1年生からフリースタイルのカットコンテストに出て、最終的には学校の代表として全国大会で入賞もしました。学生時代にやり切ろうと思っていたので、かなり熱を入れて取り組んでいたんですよ。卒業したら原宿や表参道のサロンで働くことは決めていたので、実際にいろいろなお店に行って自分がそこに立っているイメージができるかを探りました。前職の『apish』は、それが唯一感じられたサロンだったんです。作っているスタイルも好きでしたし、お店の雰囲気の良さも印象的でしたね。
アシスタントの頃は”外国人風ヘア“が流行っていた時代で、どちらかというとデザインカラーに注力していました。ですが堀江さん(堀江昌樹さん/現Hank.)がいた『JENO』に異動して、堀江さんが作るさまざまなパーマスタイルを見させてもらってからパーマ技術の幅が大きく広がって。自分の髪もパーマをかけることで、知らず知らずのうちにパーマのブランディングができていって。男性客が来ると、レディースではない、メンズのライフスタイルにマッチしたデザインパーマをすすめていたんですね。そしたら口コミでメンズ顧客が少しずつ増えていって。集客サイトやインスタからも続々と男性のお客さまが来てパーマをオーダーしてくれるようになりました。
ちょうどその当時、世の中にメンズサロンが誕生し始めた頃でした。主に女性が使っていたヘアアイロンを、男性も使ってヘアセットするようになったんです。アイロンを駆使して筋感や動きを出したり、メンズヘアのトレンド自体が大きく変わりはじめました。そのとき僕はパーマを打ち出していたので、世の中のトレンドの真逆を進んでいたんですけど(笑)、逆にそれが売りになったようで、パーマを求めるお客さまが僕のところに来てくれるようになりました。
”波巻き”を始めたのは、お客さまから「アイロンで作っていた波巻きをパーマでやりたい」と言われたのがきっかけです。直毛をナチュラルに癖毛風に見せたかった今までと違い、パーマで人工的なウェーブを作るという発想を自分は持っていなかったんですが、「面白いことができるかも」と直感的に感じました。まわりから「波巻きはロットじゃ無理」と言い切られたこともあったので、ならばやってやろうと(笑)。試行錯誤しながら複数のロッドを組みあわた新しい巻き方を開発し、それをお客さまに施術してみたらうまくいったんです。そこから波巻きパーマをするようになりました。