【型があるから型破り】還暦間近の人気美容師、笠本善之が考える美容師人生の最終章とは?超高単価なのに1年先まで予約満了。美容業界の未来は明るい!?

 

長身で褐色の肌、真っ白な歯、日本人離れした無国籍な風貌。玉石混交な日本全国50万人の美容師の中で、この人ほど強烈で異質な個性を放つ人物はそうはいないのでは? 今回は美容師歴42年の笠本善之(かさもとよしゆき)さんをインタビュー。開口一番、「メディア露出もなく、海外経験もない普通の田舎出身の美容師です」と挨拶されましたが、あの銀座の名店GRAND TAYAで積み重ねた技術は超一流。現在は銀座一等地の非公開スペースにて、平均単価3.5万円という高単価なサロンワークを行っている59歳です。フリーランス美容師として優雅な働き方を結実した笠本さんに、美容師を末長く謳歌するための極意を聞きました。

 

 


 

 

まずは美容師歴42年の笠本さんのキャリアをご紹介


笠本善之(かさもとよしゆき)/フリーランス美容師

1965年生まれ、山口県出身。難関の高等専門学校に進学したものの、17歳で中退し、美容業界入りする。数店舗を経て25歳で出店するも、5年後に諸事情で閉店。福岡に活躍拠点を移してからはTAYAグループに入社し、撮影や教育面でも活躍する。TAYAのハイブランドサロン「GRAND TAYA」が銀座に新規オープンした際、店長の辞令を受け、39歳で上京。顧客ゼロで、カット料金1万円からスタート。高単価に合わせたサービスへとアップグレードさせ、トップデザイナーとしての地位を不動のものとする。16年間務めたGRAND TAYAを辞し、56歳でCHARLES DESSIN東京店の立ち上げメンバーとして参加。2022年9月、銀座(場所は非公開)に自身のアトリエサロン『private.』を立ち上げ、フリーランス美容師に転身する。客単価3万5000円、1日の予約は4人までのマンツーマン接客を行なっている。定期的な日焼けサロン&歯のホワイトニング、モードな装いがトレードマーク。美容業界内外で交流は広い。


 

 

ジャズが流れる中、バカラのグラスでドリンクをおもてなし

 

——さっそくですが笠本さん、銀座のアトリエはいつスタートされたのですか?

 

2022年9月に始めました。なので、まだ1年と数ヵ月なんです。ここはセット面が2席ありますが、完全マンツーマンで対応しています。1日のお客さまは3〜4名までと決めていて、芯からくつろいでいただいて上質な時間を提供したいので、流すバックミュージックやその音量、シャンプー台にもとことんこだわっています。お客さまがお好きなドリンクをバカラのグラスでサーブし、シャンパンをお出しすることも。施術が終わると僕は17時半には退散し、三越のデパ地下で買い物をして帰ります(笑)。今は1人暮らしですが、自宅に愛猫が3匹いるので帰宅するのが楽しみなんですよ。一年中、サンセットがリビングから美しく見えるので、夕日を見ながら「いい生活だな」としみじみ感じています。


——羨ましい(笑)。優雅なライフスタイルを楽しまれているんですね。お客さまは、前職時代からのお客さまですか?

 

9割の方がそうですね。平均単価が3.5万円なので、月売上は200〜250万といったところでしょうか。基本的に月曜が定休日で、月25日は出勤しています。大型店に勤めていた頃は毎日めまぐるしく時間に追われていて、いわゆる人間らしい生活ができなかったんですよ。アシスタントが何人もいて、9人同時に施術したりしていて、56歳までそのような働き方でした。年齢に合った働き方ではないなとはうすうす感じていましたし、何よりお客さまとじっくり向き合って施術していきたいという思いはありましたね。それでいろいろ模索していて、たくさんのお客さまの同時施術ではなく、濃い1本をやっていこうと決めたんです。


——お客さまからの予約が入ると、つい無理もしてしまうのも分かります。ですが年齢的なことを考えると、体力的にも辛くなりますよね。

 

美容師なら一定の期間に猛烈に働く時期も必要だとは思うんです。でも40代、50代と年を重ねていく中で、だんだんと労働時間は減らしていき、逆に収入を増やしていける働き方が理想だと思っていて。それを実現させるためには、やっぱり「客単価」なんですよ。相場を上げること、それしかないんです。






>カット料金1万円をいただく自分になるため、努力したこと


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