退路を断て! 腹をくくれ! airディレクター&筋肉美容師、金丸佳右の「ポジティ部」【前編】
<Training01>ピンチからポジティブ思考を鍛えよう
コーチが体験したピンチをもとに折れない心のつくり方、前向き思考をトレーニング!
振り返れば失敗だらけ…遠回りもした。だけど腹をくくったから今の自分がいる!
美容師としての滑り出しは、これ以上ないくらい順調だった。最初に勤めた有名サロンでは、普通デビューまでに最低でも3年半と言われていた期間を大幅に短縮し、1年10カ月で達成! 僕の地元は神奈川ということもあり、友達も大勢きてくれたから売上もすぐに上がった。
だけど、2年弱、美容師をやってみたらあまりに順風満帆で張り合いがなくなったというか、目標を見失ってしまって…。漠然と、ファッションを学びたいと思ったのと、「このまま日本にいたら、自分の思考が日本の枠を超えられない」という想いもあって、傍から見たら順調だった美容師のキャリアを捨てて、ロンドンへ。そこで、とてつもない才能を持ったファッションデザイナーの卵たちと出会って、「自分は同じようになれない。しかも、よく考えてみたら服は作るより買う方が好きかも!」と思った(笑)。
ここだけの話、世界のファッションデザイナーを見渡して、優れたデザイナーさんの中にはゲイの方も多く、自分もそうならないと一流になれない! と勝手に思い込んでいた。自分もそうなろうと努力をしたけれど、「いざ」アプローチを受けたとき、涙がツツーっと頬を伝ってきて…。やはり僕は女の人が好きだし、キレイな女の人をたくさんつくることを決意したんだ(笑)。
ところが、日本に戻ったら自分の居場所がどこにもない。半年間くらいフラフラしていて、お金がないから人の家で住ませてもらう、ゴミみたいな生活をしていたことも。airに入ったときは本当に何もない状態。お客さまもいないから、自分から進んで皿洗いやお茶出しをしていたし、営業中に先輩の車を買いに行ったこともあるくらい。
そんな毎日がしばらく続き、「サボった時間が長いから、武器を見つけないと」と考えるように。その当時、まだヘアメイクをしている美容師は少なかったから、ヘアメイクを武器にするために先輩の現場に連れていってもらうことにしたんだ。経験も技術もないから、とにかく先輩に食らいつくしかなかった。現場では、みんなに覚えてもらうために笑いをとったり、賑やかしをしたり、今ここで話せないような恥ずかしいネタを披露して自分から先輩やモデルさんにいじられにいったりした(笑)。
正直、若いときはカッコつけたいから、いじられるのが嫌だった。だけど、いじられることで、自分に関心をもってもらえるのは幸せなことなんだって気づいた。だから、「いじられてなんぼ」の精神で、僕はヘアメイクとして名前を売り出すチャンスをつかんだんだ。そして、『CanCam』(小学館)の表紙のモデルさんのヘアメイクを担当するなど、ヘアメイクとして最高の経験を積ませてもらった。
フラフラしていた時期に、最初に勤めたサロンを辞めていなかったら…と後悔したこともある。だけど、辞めていなかったら海外にも行かなかっただろうし、ヘアメイクにも挑戦していないだろうし、今みたいに、たくさんの人に名前を知ってもらえる美容師になっていなかったと思う。だから、やりたいことが見つかったら、過去の実績も全部捨てるくらいのつもりで、覚悟を持ってやることが大事。腹をくくらないと何も成し遂げられない。これは普段、ウチのアシスタントにもよく話していることだよ!
♦♦♦Training01のおさらい♦♦♦
挑戦したいことがあるなら、過去の実績も捨てて全力で打ち込め!中途半端では成功しない!