カラー専門美容師・岩屋真【前編】17年在籍したサロンを去った理由。『NOOS』代表としての新たなる挑戦

 

「やり切った」という満足感と道をあけるための選択

 

昨年末に『TONI&GUY』を卒業することになったんですが、その理由は「もうこれ以上やれることはないな」と思ったからです。売上もスタイリストを超えて全店で1位を取ることができましたし、新規客数も1位になりました。やり終えたという気持ちでしたね。あとは後輩のレベルを引き上げたいと思っているのに、外部の仕事を僕がいつもいただくようになっていて、そこにも違和感を感じるようになっていました。後輩のために、道をあけようと思ったんです。それで円満退社させていただきました。

 

 

NOOS』の立ち上げは、いろんなタイミングが合って僕を含む3人の代表でオープンしたんですが、ひとりは専門学校時代の先輩で、もう一人は僕が所属するフットサルチームのチームメイトの美容師です。6人のスタイリストと4人のアシスタントで構成していて、妻もいます。妻は一度、育児のために美容師を辞めたんですよ。当時は育休などもなかったですし、僕がほとんど家にいないほど多忙を極めた時期だったので、一人で育児をして辛い思いをさせてしまいました。代表という立場になり、近い距離で働けるようになって良かったなと今は思っています。

 

サロン名のNOOS』は、「Not only one success(成功の形はひとつじゃない)」の頭文字を取ったんですけど、「いろんな人の成功の形を実現していこう」というコンセプトです。もちろん、このサロン名も体に刻みました。

 

 

カラーリストを選択したときはカラーに興味がなかったのに、今はカラーを無心で楽しんでいます。他のスタイリストがカットしている時間、ずっとカラーをしてきたわけですし、今も夢にカラーが出てくるんですよ(笑)。相当カラーのことを考えてきたんでしょうね。施術時は仕上がりのゴールが頭にあるので、ひたすらそこに向かっていく感じです。一人の施術に、約6時間ほどかけます。1日のお客さまは最大4人まで。施術中は集中するので、「今から黙りますけど、話したいことは声をかけてくださいね」と言って、基本的にはお客さまと会話しないスタイルです。

 

 

この仕事をしていて一番嬉しいのは、リピーターのお客さまが来店してくれたときに、髪の調子が良かったと喜んでくれたとき。施術直後の仕上がりだけでなく、日常の中で役立っているのを実感できると嬉しいですし、それが僕の仕事の目的でもあります。

(後編に続く)

 

 

 

プロフィール

岩屋 真(いわや まこと)

『NOOS』代表/Executive Colourist

ハサミを持たないカラー専門美容師(18年)

グレイヘアデザイン、ブリーチワーク、フォイルワーク、グラデーションカラー、デザインカラー、クリエイション…。カラーの全てを得意分野とする”超特化型”プレイヤー。2021年12月、17年間所属したTONI&GUYを卒業し、2022年4月【NOOS】を表参道エリアにオープン。サロンワークを原点とし、セミナー講師活動、オンラインサロン運営、業界誌掲載多数。技術、教育、サロンワーク、アートワークを武器に国内外で活動。多忙を極める。

Instagram:@makoto_noos

 

(文/織田みゆき photo/宮崎洋)

 

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