バーバーの教科書をつくり、メンズカットの技を語り継いでいきたい -MR.BROTHERS CUT CLUB代表、西森友弥の美容人生【後編】
メンズカットが廃れた理由は、教育を怠ったからだ
採用は、お客さんからスカウトすることが大半です。お客さんはMR.BROTHERS CUT CLUBが好きできてくれているんで。入社希望で切りにくる学生さんや美容師さんもたくさんいますけど、僕の場合、「次から予約しないでね」って言ってしまいます。僕よりも、一緒に働くスタッフに気に入られることが大事なので。ただ、ウチはかなり厳しいので、かなりパンチが効いてる人じゃないと続かないですね。
僕らは職人集団ですが、教育にはめちゃくちゃ力を入れています。礼儀にも厳しいし、上下関係も大事にしてるし、一言で言えば昭和の教育です。ファッション感覚でショップをやっているわけじゃないから、めちゃくちゃ練習しますし、めちゃくちゃ働きますし、めちゃくちゃ遊んでいます。
僕やジュリアンがセミナーに頻繁に行っているのにも意味があります。日本のメンズカットが廃れた理由って、教育を怠ったからだと思うんですよ。自分の技術を語り継ぐことを、してこなかったんです。だから僕は全国に教えに行きます。
また、近々、僕がつくったカットの教科書も出ます。いわゆるスタイルブックではなくて、プロ向けに技術の理論を説明するためのものです。メンズカットをファッション感覚でやるのは大間違いで、僕はメンズカットのカルチャーをつくりたいと本気で考えています。
そのためにも今後、10年、20年、30年、もっともっと先に語り継ぐことができる、技術理論をつくっていきたい。レディースはヴィダルサスーンがありますが、メンズにはそういうのがないんですよ。誰もやらねえんだったら、僕がやっちまおうかなって思っています。
プロフィール
西森 友弥
MR.BROTHERS CUT CLUB 代表
三重県出身。16歳からヘアサロンに勤務。住田美容専門学校卒業後、都内のヘアサロンをへて15年2月、東京・原宿に「MR.BROTHERS CUT CLUB」を開業。翌年には2号店となる中目黒店もオープン。17年には3号店、大阪店をオープン。オーセンティックなバーバーカルチャーを愛し、上質なメンズカット技術でつくるスタイルは、国内はもちろん海外からもリスペクトされている。
http://mr-brothers-cutclub.com
(取材/外山 武史・撮影/菊池 麻美)