ABBEY松永さんのアシスタント・木下新は1年間の負のループから抜け出せた努力の人−トップランナーの「神の右腕」Vol.3−
お客さまを喜ばせることの大切さ
―その後、松永さんのアシスタントになったんですね。
ABBEYはデビュー前に必ず松永か中村のアシスタントに就きます。
―間近で松永さんを見ていて一番学べるところは?
松永はとにかくお客さま第一なんです。喜んで笑顔で帰ってもらうことを大事にしている。
すぐお笑いのネタ振られますし(笑)、話題も豊富だし、忙しいのにいつドラマとか見てるんだろう……って尊敬します。
―メインアシスタントとして気をつけていることは?
松永を近くで見ていると、全部の流れをスムーズに終わらせたいタイプの人なんだろうな、と思いました。
施術がとにかく早く、カットなんて10分くらいで終わってしまうので、たまにドライが間に合わないときも。
お客さまによってはカットとカラーの順序が入れ替わることもよくあるので、その流れを瞬時に掴んで、準備して、スムーズに全ての施術を終わらせることを心がけています。
―さっき1年のスランプの話が出ましたが、松永さんの元でのピンチってあるんですか?
技術的なピンチはないのですが、さきほどの通り、会話のネタが豊富すぎるんです。
僕もまだ知らない話題とかを豪速球で投げてくる。
しかもボキャブラリーが広いから、どんな球でも打ち返せる……。いい意味でミーハーだから、お客さまとの会話が弾んでるし、その興味の範囲の広さは僕も見習わなくちゃ、って毎回思います。
だから、最近ラーメンの食べ歩きを趣味にしてるんです。
―どういうことですか?
食べ物の話ってどこへ行っても盛り上がりますよね。
松永やABBEY2の代表/中村に勝てるところってどこだろう……と考えていたとき、「僕には並ぶ時間がある!」とひらめいて、お休みの日は有名なラーメン屋に並びに行くことにしたんです。
お客さまから教えてもらったお店に足を運んだり、お店目当てに旅行したり。そうすると、次来店していただいたときに、お店の感想を伝えると喜んでくれるんです。
お客さまとの会話が広がるし、純粋に楽しい。
些細なことかもしれませんが、僕なりの得意分野を見つけて、松永や中村以上にお客さまを楽しませたいです。
最近では、「もしかしてラーメン屋になるの?」と疑われはじめるほどハマってます(笑)
―松永さんに言われて心に残っていることはありますか?
いつも「客観的に見ないとダメ」と言われます。
練習中も第二の視点を持って練習しなさい、と言われますね。確かに松永って必ず他者の視点を気にしていて、新しいものを買ったり、何か気になることがあると「これどう? どう思う?」ってみんなに聞くんですよね。
周りが見えなくなってはいい仕事ができなくなることは、スランプ時期にも経験したことなので、視野は広くありたいと思っています。
―もし悩んでいるアシスタントにアドバイスをするならば?
笑顔でいることだと思います。アシスタントになりたての頃なんて、それだけでいい気がしています。楽しくないことばっかりですが、笑顔でいればなんとなく楽しくなるし、楽しくなることを考えるようになります。
先輩の立場からすると、困ったらなんでも聞いてほしいな、と思います。相談すると悩みがすんなり解決できることもあるので、ひとりで悩む前に話しだけでもしてほしいですね。
―今後の目標は?
焦らずデビューを掴みたいです。そしてデビュー初月は100万円いきたい。
目標ではないのですが、いつも思うのは、後輩たちの前ではいつまでもかっこいい先輩でいたいし、美容師じゃない友だちには負けたくない。
僕の友人は有名企業で勤務している人も多く、彼らみたいに遊べないし、年収だってまだまだ敵わない。でも人をきれいにできる他にはない仕事が美容師だと思うので、自分の選んだ道を誇れるような美容師になりたいですね。
<プロフィール>
ABBEY
アシスタント/木下 新(きのした あらた)
長野県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校を卒業後、ABBEYに就職し、現在3年目。
2019年3月より松永さんのメインアシスタントを務める。直近の目標は2019年内のデビュー。学生時代は父親の影響で剣道に熱中し、好きな言葉は「剣心一如」。
(取材/高橋 優璃・撮影/菊池 麻美)