カンタロウさん、なんで弟子を育てているんですか? ――古くて新しい人材育成の可能性
初弟子の慶志郎さん、弟子になってみてどうでしたか?
カンタロウさんへのインタビューに同席した初弟子の慶志郎さんにも、珍しすぎて想像もつかない弟子生活についてうかがいました!
時間の使い方と決断力。それがカンタロウさんのすごさだった
-以前に勤務していたサロンではすでにスタイリストになっていたそうですが、その立場を捨ててまで弟子に応募したのはどうしてですか?
カンタロウさんが「弟子募集」の記事をブログに発表したのは、ちょうど次のステップに進むために前のサロンを退職したばかりのときでした。退社はしたものの、この先どうするかは決めていなくて、悩んでいたときだったんです。僕にはカンタロウさんと同じように、いつか海外で戦いたいという夢があったので、いつも憧れを持ってカンタロウさんのブログを読んでいたんです。だから「弟子募集」という記事を見たときに、すぐにカンタロウさんにメッセージを送りました。
-カンタロウさんの話を聞くとかなり厳しい弟子生活だったのではと思うのですが、1年間やってきていかがですか?
LIMのアシスタントたちと一番違ったのは、やはり時間の使い方です。サロンの練習に加えて、カンタロウさんから出された課題もあるし、カンタロウさんの仕事の準備や空港までの送迎もありましたから。みんながプライベートの時間を過ごしている中で、自分はその時間を削ってでも出された課題をやらないと全部をこなしきれなくて、はじめは時間の使い方にかなり苦労しました。でも慣れてくると時間がないなかでどうやって時間をつくっていくかを考えること自体も楽しくなったし、忙しいことが充実していると感じるようにもなりました。
-ぶっちゃけカンタロウさんから無茶な指示はなかったですか?
理不尽なことは言われたことがありません。休みがないとか、呼ばれたらすぐに行かないといけないとか、文字で読むと理不尽に見えるかもしれませんが、空港などへの送迎も自ら行きたいと思いましたし、何より頼られることがうれしかったです。
-間近でみたカンタロウさんはどんな美容師でしたか?
時間の使い方がとにかく上手。いくつもの仕事を同時に抱えながら、移動時間なども有効につかってどんどん決断して物事を前に進めていくのは本当にすごいと思いました。だからこんなに大きい組織をまとめて引っ張っていけるんだなと感じました。
-もうすぐデビューとのことですが、デビュー後の抱負を聞かせてください。
同じ時期にデビューする先輩たちがいるので、まずはその中で飛び抜けたいですね。弟子生活の残りの2年間を「戦う2年間」にしていくことで、カンタロウさんへの感謝と恩返しの姿を示せたらと思っています。将来的には側につかせてもらった経験を生かし、仲間を集めてLIMとして海外の違うエリアに進出したい。そして自分もカンタロウさんのように、「人を幸せにできる人を育て、世界を変えられる美容師」になりたいです。
- プロフィール
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LIM
統括ディレクター/カンタロウ
1975年生まれ。福岡県出身。大阪、東京に14店舗を展開する『LIM』統括ディレクター。同サロンの東京進出、シンガポール出店(現在4店舗)、ロンドン出店、香港出店などを手がける。2013年に同サロンを退社・独立。現在は外部委託の関係にあり、LIM統括ディレクターとして、『LIM』の発展に関わる。
(取材・文/福田真木子 写真/安田有里)