「ヒデキさん、最近、ダサくないですか? 」フラットな関係だからこそ、心揺さぶるコトダマBroccoli playhair 藤川 英樹さん

 

第一線で活躍する美容師の人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。恵比寿と渋谷でBroccoli playhairを経営しながら、トレイルランナーとして砂漠マラソンや100マイルのトレイルランニングレースにも出場している多才の人、藤川英樹(フジカワヒデキ)さん。今回は、アシスタント時代の藤川さんに影響を与えた恩師の言葉や、兵庫県で美容室を経営する両親の言葉、そしてトレイルランナーのメンバーや、サロンのスタッフからの言葉を紹介していただきました。美容師としてだけではなく、一人の人として心動かされるコトダマです。

 


 

絶対に僕の財布を出させなかった先輩の「粋な一言」

 

 

アシスタント時代の僕は、「今、日本で一番練習しているな、自分」みたいに思っていた時期があったんですよ。調子に乗っていたわけじゃないけれど、天狗のように伸びかけていた鼻をへし折ってくれた先輩がいます。その先輩は他業種で活躍している人で、今は10店舗以上の飲食店を経営する社長です。最初に出会ったのは、よく通っていた飲み屋さんでした。

 

僕の記憶が正しければ、飲み屋のオーナーさんが「頑張ってるヤツがいる」みたいな感じで僕たち二人をつなげてくれたのだと思います。僕が鼻をへし折られたとき、その先輩から何を言われたかまでは覚えていません。でも、ケチョンケチョンにされたけど全て正論で、言い返せなかった記憶がある。それで僕のほうから先輩に連絡して、一緒にご飯を食べに行ったりする仲になったんですよ。

 

 

その先輩は、美容師の狭い世界しか知らない僕に、業界の外にある広い世界を見せてくれた存在。しかも、先輩は僕と一緒にいるとき、絶対に僕に財布を出させないんですよ。「払いますから!」と言っても、絶対に払わせてくれない。そんなやりとりが何回かあったあと、先輩に「お前が俺に使おうとしているお金と時間を、後輩のために使ってやれよ」と言われたんです。「なるほど」と思いましたし、お金と時間の使い方の大切なことを、そのとき教わった気がしました。

 

 

ちなみに、その頃の先輩はアシスタントの僕よりも少ない給料だったそうです。だけど、お金がなさそうな素振りを一切見せなかった。世の中には、いつもお金がなさそうな人と、いつも余裕がありそうな人がいますが、お金に好かれる人とそうでない人がいるのだと思います。その人の生き方や態度がお金を引き寄せることもあるんだと、その先輩を見て感じました。

 

>美容師は髪を切るだけじゃなくて、時間をプロデュースする仕事だ

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