美容師のコトダマ 息を吸うように努力する男の背中を押したコトバたち 『 i. 』山内大成さん
「絶対に売れない」と言われて「よし、売れてやろう」
美容師になってから言われた言葉で、自分を奮い立たせてくれたのは「お前は絶対売れないよ」というスタイリストの先輩の言葉です。それを聞いて、「売れてやろう」とシンプルに思いました。
そもそも僕が前のサロンに入ったきっかけは、トップスタイリストが厳しすぎてついていけるアシスタントがいなかったから。実際、めちゃくちゃ厳しくて、次々とアシスタントが根を上げてしまっていました。
仕事量もハンパなくて、夜も絶対に残ってやらないと終わらない。練習の時間をつくるために、休日も毎日夜21時くらいまでやっていました。でも、そんなの誰も見ていないじゃないですか。僕自身もがんばていることをアピールしたりするのは好きではないので、「努力していないのに生意気」と言われることもありました。
呼吸をするように努力しているから、成功しないわけがない
結果を出すためには、練習すればいいんです。でもちゃんとやらない人もいるから、売れる人と売れない人の違いが出てくるのだと思います。ただし、僕には努力しているっていう感覚がないんですよ。
あるとき友達に「お前って呼吸をするように努力するよね」と言われたことがあります。呼吸って、無意識にしているものじゃないですか。何も考えなくても、呼吸はできる。実際、僕は努力しているつもりはないから、友達の言葉がすごくうれしかったです。
僕の周りにいる人たちも同じように、呼吸するように努力しています。朝早くくること、夜遅く残ること、休み日も働くこと、もう全部、自分が好きでやっていることであって、努力だとは思っていないんですよね。
反対に、嫌々やっていることはやめたほうがいいと思います。そういう人が身近にいたら、まずは、どうしてその仕事、その練習が必要なのか、僕ならロジカルに説明します。その上で、「嫌だったら辞めたらいいじゃん」って伝えますよ。無理矢理やらせても意味がないし、その人の身にならないからです。これがしっかりできない人が多いから、美容師って離職や廃業が多いのかなと思っているんですけれど…僕はこの現状を変えたいんですよ。やる気と才能があって、努力できる人を活躍させる場をつくっていきたい。だから今後僕は美容師として表に出ることは控えようと思っているし、裏方として、美容師がもっと輝く世界をつくりたいのです。
- プロフィール
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i.代表
山内大成(やまうちたいせい)
愛媛県出身。名古屋綜合美容専門学校卒業。愛知・岐阜のサロンに勤務後、都内有名店に入社。スタイリストデビュー後1年で月間300万円を達成しトップスタイリストに。さらに異例のスピードで月間450万円に到達。2019年に独立し、表参道に『i.』を立ち上げた。サロンワークを軸にしつつも、美容業界の枠組みを越え、多方面で精力的な活動を展開している。
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