木村直人さん、なんで独立しないの?
モデルやタレントなどを担当するトップ美容師としてはもちろん、WEBプロデュース、商品開発など、さまざまな場面で非凡な才能を見せるairディレクター木村直人(きむらなおと)さん。
大手サロンでキャリアを積んだあと、自分の城とも言えるマイサロンを立ち上げる美容師さんが多い中で、なぜ木村さんは“air”にこだわり続けるのだろう?
リクエストQJナビでは、みんなが気になっている「木村さん、なんで独立しないの?」の答えを聞いてきました。
未来永劫続くサロンを経営できる自信がない
-今まで、いろいろな人に何度も聞かれている質問かと思うのですが、あらためて聞かせてください。木村さん、なんで独立しないんですか?
うーん。僕が逆に聞く人に質問したいって思うんですけど、“なんでみんなそんなに独立したいの?”って。
もちろん、独立するメリット、デメリットを考えることもありますけど、今、勤務しているairのシステムとか、体制とかを考えたときに、「独立する必要がないんじゃないかな」と。独立したい独立したいって言っている人は、(いま働いているサロンが)そんなに独立したくなるような環境なのかな? って思ってしまいますね。
-なるほど。ただ、もちろん現状に不満があって独立したい人もいるかもしれませんが、「いつか自分の城を持ちたい!」と夢を叶えるために独立する人も多いのでは?
独立することによって、お金が自由になるというメリットもありますが、それ相応のリスクもあって。それらを総合的に考えたときに、僕の中では独立するという決断が必ずしも正しいとは思えない。
もし僕が独立したとして、未来永劫続くサロンづくりを目指さないと思うんですよね。物事って、始めることよりも長く続けることの方が難しい。もし、独立するってことを選択した場合、働いてくれるスタッフへの責任を持っていく必要があって、それには長く続けてもらう、生活保障をするということをしなくちゃいけないと思うんです。でも、そういう責任を未来永劫、持っていけるんだろうか。ってことを考えると、その自信が僕にはない。
-木村さんほど、キャリアのある美容師さんでも自信がない?
どこに水準を置くかってことだとは思うんですけど、まあまあなところで続けていくことは、もしかしたらできるかもしれない。でも、今のパフォーマンスのレベルを、独立したところで続けていけるのかっていうと不透明じゃないですか? バーッといったあとの10年、20年はいけるけど、そのあとの責任をどうとっていくんだろう? そう考えると、そこからは人を育てていくっていう方向にシフトしていかないといけない。でも、人がいなかったらどうするの?って思うし。
僕は、airの前に老舗サロンに勤めていたことが多いので、続けていることの難しさを見てきているんですよね。どんなに隆盛を極めたサロンであっても、続かせるってことはものすごく厳しい。もしかしたら、続かせるっていうビジョン選定自体が間違っている可能性があるなって思うこともあるんです。