木村直人さん、なんで独立しないの?
airの理想を実現させるために全力は尽くす。でも…
-続かせることが難しいのならば、airが倒産するという可能性もありますよね?
もちろん。でも、倒産したら、何かにチャンレンジできるきっかけになるので、マイナスではない(笑)。僕は基本的に、やるからには必ず結果を出すというマインドを持っているので。
でも、僕は今、別に生活に不満がないんですよ。「ある程度の自由」と「ちゃんとした生活」を与えてもらって、とくに不満がない。もし今から独立したら、今まで構築したものをゼロから30年以上やらなきゃいけない。そう思ったら、「無理じゃない?」って。だって、もう中年になっているし、いつ死ぬかもわからないし、明日、交通事故で死んだらおしまいだし。構築するまでの時間がかかって、ある程度の安定期があって、そこからは衰退していくと思うんですが、正直、そこまで行けるかなって。
-今、木村さんは後輩たちを育てる立場にいるわけですが、独立してゼロから人を育てることと、airの後輩を育てることは全然違いますか?
全然違うと思いますよ。楽なところもあるし、難しいところもある。オーナーになった方が、100%自分に信頼を置いてくる人材が集まってくるわけなので、コントロールはしやすいと思います。ただ、豊かにする雇用を創出するのであれば、1店舗だけでは難しいし、美容室が利益がでないことは知っているから、美容室運営だけでは難しいのかなと思いますね。
僕が独立するんだったら、アシスタントでも給料30万とか普通にもらえる環境をつくりたいと思っているんですよ。もっとイノベーティブなサロン作りをしていきたい。そうなったら、美容室運営以外にも、さまざまな事業をやっていく必要があると思いますね。美容室だけやっていても、いつかは衰退してしまう。それはもう、歴史が物語っていますから。もちろん、美容室だけで、ワンブランドで続けていくという挑戦をしていくべきだとは思うし、尊いことだとは思います。でも自分的にはそういう思想はないんです。
-クールに物事を見ていらっしゃるんですね。それは、airに対しても同じ?
airには、「100年続いていく企業」というポリシーがあって、僕はひとつ石垣として力を貸しているだけ。そこの部分のお手伝いをいかにできるかということを考えて、つねに仕事をしているんです。だから、頭の中は半々ですよね。クールにみているところ、夢を追いかけるところ。
-木村さんの頭の半分では、夢を追いかけているんですか?
うーん。僕は追いかけてないです(笑)。ただ、airなくして今の僕は存在しなかったと思っているので、airに育ててもらったという意味で、airが理想として追いかけているものに対して自分が全力を出すのは当然だと思うし、それこそが僕がやるべき使命だと思っています。でもその反面、業界にいる中で冷静に見ている部分もあって。それゆえ、独立を急ぐ必要などないみたいな感じ。