KATE代表 木下公貴さんに聞く、独立のベストなタイミングは? 〜3年間の勉強期間で独立への土台作りができた〜

独立後は、自己ブランディングが重要

 

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-晴れて、2011年5月25日に独立したわけですが、スタッフはどのように集めたんですか?

 

「KATEは最初、3人でスタートしたんです。1人はSHIMAで働いていた子で、もう1人はずいぶん前に辞めた子。ずっと彼のことが気になっていたのですが、別のサロンで働いていたので、電話するのを躊躇していたんです。そのとき妻が『電話してみなさいよ』と背中を押してくれて。電話したら二つ返事でOKをくれて一緒に働くことになりました」

 

-KATEのコンセプトは?

 

「お客さまとじっくり向き合って施術するというのは大前提で、大きい柱となるコンセプトはトレンド・似合わせ・再現性ですね。トレンドの半歩先をいくような都会的でシンプルで、でもひとつひとつが光っているようなスタイルを提案できるサロン。1+1=10になるようなサロンが理想ですね。」

 

-独立後は順調だったのでしょうか?

 

「順調ではなかったですね。というよりも、オープンまでが大変でした。2011年といえば、東日本大震災があった年で、震災後は資材が届かなくて、店舗の工事が進みませんでした。なんとかオープンには間に合いましたが、レセプションパーティもしていないですし、バタバタでオープンしたという感じです」

 

-独立するにあたって、やっておいた方がいいと思うことはありますか?

 

「独立してから先は、お店と自己ブランディングがもっとも重要になってくると思うんです。カウンセリングでもいいし、カットの技術、デザインでもいいし。なにか、ここに来る価値がないと来店してもらえません。数多くのサロンの中から「KATE」を選んでいただくためのブランディングは重要だと思いますね。

SNSやインスタグラムなどいろいろな発信方法があるなかで、やはり最後に残るのは口コミだと思うんです。お客さまに口コミで発信していただけるように、自己のブランディングや強みをしっかり打ち出していくことが重要だと思います」

 

-サロンモデルさんから『好きなサロンはKATE』という声をよく聞きます。

 

「そう言っていただける理由は、人だと思います。KATEは、本当にスタッフたちの人柄がいい。誰かが呼んだモデルであっても、全員で呼んだモデルという意識があるので、みんなで和気あいあいと話をしています」

 

-そういった人間力って、採用する際に判断できますか?

 

「新入社員と中途採用では違うと思うんですよね。新入社員だと、履歴書見て、面接して、それで判断しなくちゃいけないけど、中途採用だと何ヶ月か働いてもらってから、この人はうちのサロンにいてもらいたい人、そうでない人というのを全員でジャッジするようにしていますね」

 

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-KATEに必要な人材って? 育成のためになにかしていますか?

 

「まずは笑顔ですね。あとは清潔感、そして都会的な雰囲気を損なわないようにとは言っていますね。見た目でいうなら、きちんとKATEの持つ雰囲気に合わせられるかとか、T.P.Oに合わせて振る舞えるかとか。

教育的には、ファッションミーティングというのをよくやっています。たとえば、インフルエンサー的なモデルさんだって、誰かの影響や時代の影響を受けているんです。70年代がトレンドですが、70年代は日本はどうだったの? 世界はどうだったの? ファッションのトレンドって反社会的な若者のエネルギーから生まれてくるものが多く、そういうことを学ぶことですべてがつながってくるんですよ。カルチャーを学び、時代背景を学んだ上での落とし込みの方が説得力があるし、そこを美容師としての付加価値や武器としていけばいいんじゃないかと思います。

あとはSS(春夏)とAW(秋冬)のコレクション撮影ですね。全員でみっちり話し合いながらつくっていきます。ああでもない、こうでもないと話し合いながらなので時間はかかりますが『こうだから、こうなって、だから流行ると思う』と言えると説得力があるし、それをしっかりシェアすればお店のパワーになると思います」

 

-そういったことはSHIMAでもやっていたんですか?

 

「そうですね。前社は規模が大きいので、全社員でということは難しくて、選抜メンバーでやっていましたね。そういう意味でも、ものすごく勉強させてもらったなと思っています。

前社では、ヘアショーの際には、時代背景やカルチャーを学んだ上で、ストーリーをつくり、そこから起承転結をつけていくんです。髪を切る前に、ものすごい時間をかけるんですね。結果、打ち出すときにものすごいパワーになっていくんです。それと同じことを、というか、それ以上のことをKATEでは、社員全員でできるといいなと思います。美容師はとかくマニアックに走りがちなので、方向性さえ間違わなければ、ものすごい力になると思います」

 

-その他、独立する際に気をつけた方がいいことがあれば教えてください。

 

「規模を大きくしたいという希望が少しでもあるなら、最初に多少の資金がかかっても、広いスペースを確保しておくことが重要です。オープン後、すぐにパンパンになってしまって、引っ越すというのももったいないので」

 

-独立をしたいと考えている美容師さんに向けて、メッセージをお願いします。

 

「そうですね…。独立したいなら独立した方がいいと思います。自信がないならやめたらいいと思います。独立だけがすべてじゃないし、今いるサロンが100%愛せる会社なら、そこにいた方がやりたいこともできるだろうから。独立して失敗しても、また頭下げて、どこか別のサロンでやり直せばいいんですよ。実際に独立してみないとわからないこともたくさんあるので、それくらい腹をくくる気持ちで、挑戦してみればいいと思いますね」

 

 

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KATE

代表/木下公貴(きのしたきみたか)

大手サロンSHIMAに15年勤務後、2011年5月に独立し、KATEをオープン。触れたくなるような柔らかなニュアンスや次の日からも形になる再現性のあるスタイルづくりが得意。

 

(取材・文/QJナビ編集部)

 

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