【唐澤憲司×小山圭介×塩澤宏】美容業界歴16年。修羅場を乗り越えて見えてきた、時代にフィットした柔軟対応術とバランス経営

 

「僕ら世代は一歩ずつ階段を上がってきたからメンタルは強いですよ」(唐澤)

 

——もし今のSNS全盛期の時代にデビューしていたとしたら、どうなったと思いますか?

 

塩澤:今の美容業界はめちゃくちゃうらやましい! この時代に現役してみたかったですね(笑)。

 

唐澤:僕も今が学生だったら、もっとやれると思う。僕らの時代は SNSがなかったけど、今はベッドで寝ながらスマホで動画を作れる時代ですよ(笑)。誰ともつるまず に YouTubeを撮るという選択もできますしね。

 

小山:モデハンも、僕らは足を使って声をかけるしか方法がなかったじゃないです か。今はお金をかけずにPRできるから、この10年でかなり進化しましたよね。

 

塩澤:ほんとだよね。SNS上なら、演じきれたら集客できて稼げて、それも本物になるけど、ただ最終的に美容師は対面になるんですよ。そのときに個の力がなかったらお客さまはリターンしないわけで。重きを置くべきは、やっぱりリターンしてもらえる、ファンを作れる個の力は大切ですね。

 

 

唐澤:僕は今のようなパーンッと売れるスピード感じゃなくて、一歩ずつ階段をのぼってきた世代。だから、ある意味メンタルは強いよね。崩れても、また必ず上がれる自信がある。でも、やっぱりパーンッはうらやましいよね(笑)。

 

小山:うん、うらやましい。早いですからね。

 

唐澤:僕らの時代、アシスタント歴が⻑かったじゃないですか。僕はデビューが 27歳。

 

小山:僕は 26 歳でした。

 

唐澤:各技術1年はかかるカリキュラムが普通だったから、デビューまで7年くらいかかる時代だった。30歳でデビューできない人も全然いたしね。

 

塩澤:いたよね。それが普通の時代だったよね。でも思うのは、クリエイティブな大 御所の人たちは、やっぱりうまいじゃないですか。そこはずっと変わらないんです よ。シンプルにかっこいいなって思ってますね! 例えば10年後、今の20代前半の子が30代になって、僕ら世代が40代になり ますよね。そのときに僕らの方が売上が少なかったとしても、うまい人達たくさんいると思うんです。圧倒的に練習量が違うので。

 

小山:僕らは情報がないところで戦っていた世代だから、自分の脳みそをフルに使っ て考えて、失敗と成功の数を重ねてきましたからね。失敗のほうが多かったと思う し。

 

塩澤:美容業界のこのめまぐるしい変化って、世の中の流れ的には特別に早い方ではないと思うんですね。給与の歩合が上がってきたのも、情報社会になりオーナーの取り分が多かったのが分かってしまったから。今はシェアサロンなら80%、レギュラーで40%が最高の歩合かな? でも、ここからはもう上は無いと思っています。今後はレギュラーの働き方をする人のパイが増えていって、ぼんやりした層は淘汰されていくんじゃないかと僕は予想しています。外れちゃうかもしれないけど。

 

小山:シェアサロンは、どんな位置付けで見てる?

 

塩澤:シェアサロンという箱については、僕は「コミュニティビジネス」だと思って いて。そこにお客さんを集めるというよりは、フリーランスが次のステップに繋げる 場所だったり、SNSが強いインフルエンサー的な美容師がいて、そういう出会いの場所になっているから、形としてはなくならないと思うんです。

 

唐澤:お客さんを繋ぐお金の動き方は、変わってくるかもしれないよね。

 

塩澤:デバイスが普及していますからね。集客方法も有料が主流だったけど、無料が 出てきていますし。そこが共存した末に、今後どうなっていくか。また新しいものが 出るかもしれないし、その次の時代に備えて常に準備していたいですね。

 

 

 

>「僕らは狭間世代。ハイブリッドに教育していかないと勝ち残れない」(小山)

 

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