全国でも珍しい存在! 日本髪にちょんまげも! 地毛とかつらを手がける結髪師―髪結い処 澤田 澤田聖子さん

 

江戸時代から続く伝統ある「日本髪」。その技術を京都で学び、現在は仙台に拠点を置きながらも、全国で活躍する「結髪師(けっぱつし)」の女性がいます。日本髪専門美容室「髪結い処 澤田」を営む、澤田聖子(さわだせいこ)さんです。

 

実は、日本髪を結う結髪師は関西を拠点とすることがほとんどで、東北で活動するのはとても珍しいそう。さらに、フリー結髪師は、国内外でも珍しい存在です。そんな澤田さんに、これまでの軌跡と、日本髪に情熱を注ぐわけを伺いました。

 


 

「本当の日本髪を作れる美容室はどこにあるんだろう」そんな疑問からはじまった結髪師への道

 

 

私が日本の歴史や文化を好きになったのは幼稚園のころからです。結髪師になろうと決めたのは、20歳のころ。成人式で髪を結ってもらったときに疑問を感じたのがきっかけでした。

 

美容室で日本髪を結ってもらったのですが、使う道具は昔ながらのものではなく、ゴムやピン。伝統的な方法では逆毛を立てないのですが、逆毛を立てて結われた日本髪を見て「本当の日本髪を作れる美容室はどこにあるんだろう」と疑問に思ったんです。

 

大学2年生になり「日本文化に携わる職人になりたいけど、何の職人を目指そうかな」と将来のことを考えていたとき、その疑問を思い出しました。成人式から1年後のことです。

 

まずは本当の日本髪が結える美容室があるのか探そうと考えました。日本髪といえば舞妓さん。舞妓さんといえば京都の祇園。きっと祇園町を歩いていれば日本髪を結ってもらえる場所は見つかるだろう、と思い立ってから半年後には、宛てもツテもないのに、祇園に向かっていました。

 

そこで見つけたのが、舞妓さんの髪を結う髪結い処です。展示用の小さなかつらを扱う豆かつらのお店に入り、髪結処を探していることを話したら、親切に教えてくださったんです。さっそく訪ねたのですが、残念ながら先生は不在でした。そこで、京都から戻ってすぐ電話をし、先生に日本髪を結ってもらいたいことを伝えたんです。舞妓さん専門の方なので一般人の髪は結っていただけないかもしれないと思っていましたが、快く承諾してくださって、前回祇園に訪れた半年後には日本髪を結ってもらうため、再度祇園へ向かいました。

 

「お給料が出なくてもいい」。魔法のような技術に惚れ込み弟子入り志願

 

 

先生の結う日本髪は、逆毛も立てず、江戸時代から培われているそのままの技術で作られます。あっという間に結い上がっていく様は、魔法のようでした。日本髪は、まず「癖直し」からはじめるのですが、この時間を含めなければ、完成までの時間はたった20分ほど。

 

先生の技術を目の当たりにし、すぐさま弟子入りをしたいと思いました。弟子を取っているのか伺うと、「志願する人がいないので、弟子はいない。だから祇園の髪結い所は私の代で終わりだと思う」とおっしゃっていたこともあり、その気持ちは強くなりました。

 

初めて会ったその日に弟子入りしたいと伝えるのは失礼かと思い、京都から戻った後、「お弟子さんがいらっしゃらないなら、私を弟子にしてほしい」という手紙を出したんです。その手紙には、日本髪を結う職人や和文化に興味があること、先生に結っていただき、とても感動したことも書きました。

 

2週間後、先生から「髪結いの仕事は一見華やかに見えるが、あくまで華やかな世界を支える立場。修行には長い時間がかかるし、覚悟も必要になる。それでもやる気があるんやったら、一度面接にきなさい」と返事をいただき、大学4年生のとき、面接を受けにまた、祇園へ行きました。

 

面接では、「どのくらいやる気があるのか」「最初はお給料も出ないけどそれでもいいのか」などといった話をしましたが、それでも弟子入りしたいという私の熱意を伝えました。そうして、大学卒業後、その髪結い処に弟子入りすることができたんです。

 

>文化を影から支える人物に。髪結い処の次はかつら屋に就職!

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