ハサミを置いて、ヘアケア知識を武器にする! ある男性美容師の選択
髪の美しさや、頭皮の健康にお客さまのプライオリティが高まるなか、ヘアケア専任のスタッフを置いている美容室も増えてきました。では自身の技術をヘアケアだけに絞って、長い美容人生を生き抜くことは可能なのでしょうか?
K-two KYOTOの丸山洋平(まるやまようへい)さんはスタイリスト経験を経て、同サロン初のヘアケア専任美容師に転向しためずらしい経歴の持ち主です。転向前からのお客さまにはカットをしますが、その他はハサミを持たず、ヘアケアメニューのみでお客さまと向き合う日々。ケアリストになって2年。「可能性が見えてきた」と語る丸山さんにケアリストへの転向の理由と、今の状況をうかがいます。
誰も持っていない強みを手に入れて美容師人生を戦いたい
-まずはケアリストの具体的なお仕事を教えてください。
主に指名のお客さまのトリートメントメニューを担当しています。また他スタッフのお客さまで、トリートメントメニューやヘアケアに興味がありそうな方には、カラーリングの放置時間中などにお邪魔させていただいて、ヘアケアやトリートメントについてお話させてもらったりもしています。髪のお悩みやコンプレックス、またホームケアの仕方などをお話する中で、次回の指名予約をいただくことも多いです。
-トリートメントメニューで指名が入るのですね?
カットやヘアカラーは他のスタイリストで、トリートメントメニューは僕に、という感じです。また最近では集客サイトやインスタグラムなどを通して、新規指名のお客さまも増えています。
-スタイリストとして活躍後、ケアリストに転向するというのは、大きな覚悟が必要だったのではないかと思います。どうしてそのような選択を?
スタイリストとしては6年間、お客さまを担当していました。カットもヘアデザインも好きでしたが、誰も持っていない自分だけの強みを手に入れたいと、ずっと考えていたんです。それと同時に、年齢を重ねると多くの人が髪を短くしなければならない現状がとても気になっていました。カットも大事だけれど、デザインをきれいに見せて喜んでいただくためには、ケアが大事なのでは、と。そこでヘアケアや毛髪についての勉強を始めたら一気にハマった、という感じです。
-ヘアケアメニューの売り上げのみでやっていけるか、不安ではなかったですか?
不安でしたよ、すごく。ただヘアケアメニューはこちらの提案次第で、来店サイクルや料金がある程度コントロール可能なことと、店販購入率が圧倒的に高くなるであろうことを見込んで計算し、これならやっていけないことはないと判断したうえで踏み切りました。あとサロンをあげて既存のお客さまに事前アンケートもとらせていただきました。トリートメントやヘアケアについての意識についてお伺いする内容で、回答を見ると想像以上にニーズがあったことも、決断の後押しとなりました。