【カリスマ登場】吉田潤が北千住から吠える!伝統×革新の両輪で進む『ISM』の流儀とギャル文化の立役者の主張(後編)
求められるならば、現役を続けると思う。
僕ら『ISM』の立ち上げメンバーはロックでパンクで、もはや美容師とは思えない強烈なチームでした(笑)。体育会系だったので、仕事も早いんですよ。信じられないくらいのお客さまの数を一日でこなしていました。あの頃は森島(北千住店長)と百瀬(表参道店長)が両サイドにいましたから、いくらでも仕事ができました。あの頃を思うと、美容師というのはもっとかっこいい仕事だし、やれることもまだまだあると思うんですよね。自分の枠を決めつけずに、カラーや縮毛矯正だけじゃなく、ワインディングパーマもやってほしいなと思います。
今、僕は週に3日ほどサロンワークをしているんですが、新規もまだ受けつけています。受けつけないということになると、「下町のお前ごときが!」というご意見もあるでしょうし(笑)、あゆファンにも申し訳ないなと思っていて。スタッフと同じ目線に立って働くことも、教育上、必要かなと思っています。40代でスパッと現役を引退される方もいますが、それってすごいことだなと思うんですよ。僕は求めてくれる人が一人でもいたら、「現役をやめました」と言える勇気がないかもしれない。近所に90歳の現役の床屋さんがいるんですけど、かみそりを持つと感覚がピシッとするらしいです。僕も、ボロボロになってもやるのかなと思います。
若い世代に伝えていくことも大事な仕事。
うちのお店は日本髪をやるので成人式も依頼がすごく多いんですが、昔は先輩たちと朝方まで準備をして、みんなでご飯を食べたりしていたんですよね。厳しくて苦手だなと思っていた先輩とも、こういうときに会話をして「意外といいところがあるんだな」と思えたり、そんな心がふと温まるようなコミュニケーションができたんです。でも、今はそんな経験がなかなかできません。
若い子たちは自分と違う環境で育っているので、僕自身も“柔軟性”を持って接しなければいけないなと思っているんですよ。スタッフにいろいろな引き出しを用意してあげて、好きなことに挑戦させてあげられる環境づくりにも、本腰を入れないといけないと思うようになりました。これは、うちの次の課題ですね。
実践でやってきたことを、若者に伝えることも責務だと思っています。来年4月に「渋谷女子インターナショナルスクール」という新しい高校ができるのですが、ギャル文化の第一人者として、そこでファッションの文化を伝える講師に挑戦することになりました。今の時代を生きる子たちは可能性に恵まれているので背中を押したいなと思っていますし、見落としがちだけど拾わなきゃいけない大切なことも、教えていけたらと思っています。
僕の感覚を磨くのはサーフィンと格闘技。
最後に。僕はエネルギッシュに生きたいので、朝起きたときに生まれて、夜寝るときにご臨終みたいな生活をしています。その方が、1日が充実するじゃないですか。仕事の合間にサーフィンもしますし、格闘技もします。昨日も練習だったから、実は足が痛いんですよ(笑)。スポンジのように体を動かすことで溜まったものを絞り切らないと新たに吸収することができないので、新しい作品を作るためにも好きなことをして、感覚を磨いています。今後は、新店舗で撮る作品も見てもらいたいなと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。
- プロフィール
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吉田 潤(よしだじゅん)/『ISM』代表
1967年、東京都生まれ。日本美容専門学校卒業。16歳から美容業界に入り、都内有名店を経て31歳のときに地元・北千住にサロン『ISM』をオープン。ギャル系雑誌で実力を発揮し、瞬く間に行列ができる人気サロンとなる。7年後には南青山店もオープン。高いカット技術に加え、日本髪の伝統継承にも力を入れており、全国でセミナーを開催。ヘアケア製品のプロデュースや監修も数多く手がける。2022年6月末、本店のすぐ近くにシャンパンバーを併設する3店舗目が完成予定。
@ismjunyoshida
(文/織田みゆき photo/泉山美代子)
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