SORA 北原義紀さんの“一番古い”お客さま—お客さまのひと言が、北原さんの美容人生を変えた

常にベストで戦い、変化し続ける、同じ土俵に立つ同志—お客さまから見た、北原さんという美容師

 

 

美容師さんとしては何ひとつ注文をつけるところはありません。何もオーダーせず、完全にお任せです。もう切り抜きも持って行きません(笑)。

 

10年以上ものブランクを経てSORAに足を運ぶようになり、北原さんにあの一言を言ったのは、きっと僕にとっても阿佐ヶ谷時代の北原さんが印象的な人物だったからでしょうね。

それと美容室に勤めていた時代に、ヘアショーに招待してくれたことがあるんですよ。かなり挑戦的な内容や見せ方をするヘアショーで、そこで北原さんのクリエイターとしての可能性を目撃していたというのもあると思います。

 

ルックブックの撮影をお願いするようになってからの北原さんの変化は、僕もすごく感じていました。どんどん外に出て行って、撮影に限らず幅広い分野にチャレンジして、くるくると変化していく。僕自身は内に篭って黙々と作業するタイプなので、まったく違う面を持つ北原さんをおもしろく見させてもらっていますし、尊敬もしています。

 

 

ファッション性よりも、設えのよいヘアスタイルを—北原さんから見た、お客さま

 

 

僕にとっては単なるお客さまという存在を超えている板倉さん。1人の男性としての存在感や人格をすでに兼ね備えていらっしゃるので、ヘアスタイルで補うべきものがないんですよね。ごちゃごちゃしたデザインは必要ない。唯一、常に気を遣っているのは、格が見えるデザインであることです。サロンワークでは刈り上げをするときにバリカンを使うこともあるのですが、板倉さんに限っては必ずハサミだけで行っているのもその顕れです。

 

板倉さんとの会話や撮影を通してファッションの仕事を覗かせてもらったことで、僕のヘアデザインとの向き合い方も大きく変わりました。オーナーになってから、こんなに大きなターニングポイントを迎えられることはなかなかないと思います。特別な、そして本当に一番古いお客さまです。

 

プロフィール
SORA
代表/北原義紀(きたはら よしのり)

大阪府出身。日本理容美容専門学校卒業。都内の理容室で勤務後、1年間渡英留学。帰国後、都内美容室を経て、2002年に金子利彦氏、山根栄有氏とSORAをオープン。サロンワークを中心に、撮影、ハサミの開発企画やボランティア活動など、業界の枠を超えたさまざまな企画を「キタハラヨシノリプロジェクト」を通じて具現化している。

(取材・文/福田真木子  写真/藤記美帆)

 

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