サロンに藁小屋? 英香さんのセンスが溢れすぎるHOUNE(ホウネ)が中目黒にオープン。新店舗に込めた想いと、英香さんの現在地
「まだまだ足りない」――美容師が時として味わう歯がゆさを払拭していきたい
オープンして4カ月が経とうとしていますが、サロンワークのほかに業界誌の撮影、ヘアショーなどありがたいことに仕事は盛りだくさんです。30代も後半に突入するので、少し落ち着いてもいいかも……という気持ちもあるのですが、スタッフに背中を見せるという意味でも、次世代を担うスタッフに仕事を繋げるという意味でも、ちょっと無理をしながらでも働いてしまっているかもしれません。スタッフにはいつも話しているのですが、誰にとっても死や病気はいつ訪れるかわからない。だから、今このメンバーで健康に働けていることを大切にして、自分ができることを全力でやろうと決めています。
私にとって、20歳からずっと続けているサロンワークは呼吸みたいなものなんです。いつもお客さまへの感謝の気持ちがあるし、提供する技術を高めたいと常に考えている基盤となる部分で、これはもうこの先ブレることはありません。
一方で、業界にはすごい先輩方がとてもたくさんいらっしゃるし、私自身は「まだまだやり遂げたいことがたくさんあるな」という想いがあります。
技術の勉強はもちろんですが、それ以外だと、美容師という仕事に対して、業界外からは「大変そう」「長時間労働なのに給料が安い」などの負のイメージがまだ残っています。昔と比べると環境もすごく変わってきていますし、美容師は本当に素晴らしい仕事なので、社会的なイメージを少しでも向上させていきたいですね。
美容師のイメージが壁になってしまう場面は他にもあって、貫きたいクリエイティビティがあるのに、“美容師だから、美容業界だから”という理由で叶わないことが沢山あります。撮影をする美容師さんはわかると思いますが、プロモデルをキャスティングするにしても、自分の思い通りにいかずに歯がゆい思いをする…というような場面を、実力不足かもしれませんが多々経験してきました。
そんな職業の壁も超えられるように、私はいろんなことに挑み続けたいと思っています。そのためにも勉強や努力を続けないといけないし、立ち止まっていたら成長できないと常に考えていますね。
前回の取材のときにもお話しさせてもらいましたが、私はもともとアシスタント気質なんです。周りの人をサポートしたい、支えたいという思いが強くある自分が、前に出ていくモチベーションがあるとしたら、この点に尽きるのかもしれません。
- プロフィール
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une・HOUNE/オーナー
英香(ひでか)
東京都出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校を卒業後、1店舗を経て2019年11月に自らがオーナーとなるuneを、2024年2月には2店舗目となるHOUNEがオープン。ナチュラルな雰囲気ながら人と被らないシュールさがあるスタイルが支持を集め、サロンワークを始めヘアメイクとしてもメディアで注目を集める。
Instagram:@hideka.une
(文/須川奈津江 撮影/菊池麻美)