どれだけ大変!? 美容師の本気の保活vol.3 専門家に聞く保活の手順と虎の巻! -出産・育児・保育園探しに迷う女性美容師へ!-
パートよりも社員が有利! 自分が持っている権利を知ろう
準備4:ママ美容師としての自分の権利をチェック
・自分の勤務状況を確認
認可保育園の入園選考方法は、保育の必要性をいくつかの項目に分けて点数にし、積算する点数方式です。たとえば両親がフルタイムで働いているか、勤続年数どれくらいか、同居家族はいるかなどが問われ、点数が高い人、つまり保育の必要性が高い人から優先的に入園が決まります。
正社員とパートなら、正社員のほうが点数が高く、両親のどちらかの親が近隣に住んでいる人より、遠い土地に住んでいる人のほうが点数が高くなります。たとえばオーナーや店長が、気を利かせてパートになることを提案してくれることもあるかもしれませんが、「保活」のことを考えると正社員のままでいるほうが優位。しかも……。
「会社側から時短勤務になるならパートになってというのは法律違反。断っても大丈夫です。時短勤務は、正社員のまま「育児時短制度」利用者とみなされるだけなので、それに見合う勤務時間を確保して正社員として働き続けたほうが良いと思います」(菊地さん)
サロンのオープン時間が遅く、勤務時間の確保が難しい場合は、「サロンに相談してサロンワーク以外の仕事を得てみては?」と菊地さん。営業前にその仕事をこなすことで、勤務時間を得る方法もあると言います。ちなみに勤務時間には在宅での仕事も含まれるそう。プレス業務や、朝のレッスン担当など、話し合いによって、仕事を創生することができるかもしれません。
・産休・育休の期間は?
産休・育休の期間は法律で定められています。産休は出産予定日の6週間前から、産後8週間まで。育休は産後8週間後から1歳まで。ただし保育園に入れなかったなど、なんらかの事情がある場合は1歳6ヶ月まで延長が可能。産休中は社会保険から、育休中は雇用保険から、それぞれ給与に応じて給付金がもらえます。これはすべての会社に共通の法律ですが、サロンにこれまで出産後復帰した女性美容師がいなかった場合、「雇用主側も知らない可能性がある」と菊地さん。自分でも調べて、サロン側と休業期間を調整する必要があるかもしれません。
なおフリーランス(個人事業主)契約になっている場合は、産育休制度の対象にならず、たとえお休みができても給付金が出ないので注意が必要です。
準備5:サロンとの復帰の約束と、働き方についての話し合い
復帰後の働き方のイメージが定まっていないと、保活中の心配も増すばかり。保活と同時進行で復帰後の働き方についても調整をはじめて、「戻れる」安心を手にいれた状態で産育休に入ることを目指したいものです。
「法律上、時短勤務は3歳までとされています。ただ各会社にはそれぞれ就業規則があって、それによって3歳以上に延ばしてもらうことも可能です。就業規則がどうなっているかを確認しつつ、自分の希望を相談してみてください」(菊地さん)
時短勤務は周囲の理解や協力があってこそなりたつものです。特に子どもが小さいうちは病気も多く、急な休みや早退もあるでしょう。そういったことも事前にサロン側や一緒に働く人たちに理解してもらい、対応方法も相談、納得し合っておくと、スムーズな復帰も叶いやすくなります。
「復帰前に職場に一度お子さんを連れて行ってみるのもいいですよ。スタッフの方たちも会ったことがある子だと、『あの子が熱を出しちゃったんだ……』というように、理解を示しやすくなると思います」(曽山さん)
つまり美容師の保活は、子どもを保育園に入れることだけでなく、復帰後の働き方までセットで考えるのがマストなのです。保活を始めたら調べることが多かったり、サロン側との調整がうまくいかなかったり、育児と仕事の両立に不安を感じたりと、くじけそうになることもあるかもしれません。「子どもが20歳になったときに、どんな姿を見せたいですか?」とは、曽山さんからのメッセージ。この言葉を聞いて美容師を続けている自分の姿が浮かんだのなら、ぜひともがんばって! みなさんの保活がうまくいくことを、願っています。
(取材・文/福田真木子)
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