世界的なクライアントを抱え、一流メディアに名前を刻むヘアメイク Teiji Utsumiがロンドン・東京で仕掛ける「Haco+」とは?
みんながやりたいことに挑戦できる箱をつくりたい
−Haco+でやりたいことはどんなことですか。
Haco+には東京でアーティスティックなヘアを創りたい、ロンドンで活躍したい、ヘアメイクに挑戦したいとそれぞれの希望を持った美容師が集まっています。だからみんなの夢をかなえるための環境を用意したいと思っています。学びの機会も用意してあげたい。つい先日も、ヘアメイクとして活躍しているKUNIO KOHZAKIに来てもらって、彼の視点やマインドを話してもらいました。
オープンして半年も経たないですが、面白いサロンになってきたと思います。みんなそれぞれタレント性がある。ギャルをつくる人もいれば、アニメからインスピレーションを受ける人もいるし、パンクっぽいスタイルをつくる人もいます。それぞれ違いを認め合って、シナジーを起こしています。
これからはお客さまのアーティストとコラボレーションしたアートイベントやトークショーなんかもできたなと思っています。Haco+でしかできないことをしたいし、スタッフやお客さまにとってのパワースポットになればいいなと。
やりたかったことと言えばもう一つ、オリジナルプロダクトとしてオイルをつくりました。イギリス人ってヘアオイルを使う文化がないんですよ。一方で、僕らのサロンは大体60%くらいがアジア人で、ブリーチをするお客さまも多い。イギリスにはいいオイルがないということで、お客さまのためにつくりたいと思っていました。それに、プロダクトをたくさんの人に使ってもらうことで、自分たちのブランドが旅をしている感覚になれるし、目の前にいなくてもブランドを感じてもらえると思ったんですよね。そのため、できるだけオーガニックで、パッケージにもこだわったものをつくりました。オーロラのようにいろいろな色に光るというのがコンセプトで、ダイバーシティの意味合いもあります。
サロンやプロダクトをつくっているとき「これってヘアをつくっているときと似ているな」と思いました。ビジネスも基本的にはアートと同じだと思うんですよね。コンセプトを決めて、誰にどんな価値を届けていくのか考えていくのが楽しい。Haco+も自由にデザインしていきたいです。
まずは今いる場所で輝け
−最後に、ヘアメイクを志している若手美容師さんへのメッセージをお願いできますか。
ヘアメイクをしたい人に伝えたいのは、多くの人はヘアメイクの世界が見えていないということ。見えないからこそやりたい人も多いと思う。だから、ヘアメイクをしている人とSNSでもなんでもつながって、一度話を聞いたほうがいいですね。
その上で、今いる場所で輝いて、まわりにいる人たちと信頼関係を築いてください。オーナーさんも「こいつはサロンを出たほうが活躍できる」と思えば行かせてくれますから。案外みんな何かを志す人の味方なんですよ。ただ、目の前のカットもできないのにヘアメイクを志すのはちょっと早くないかな?と思います。もしくは、逃げなんじゃないかなと。
まずは恩返しのつもりで頑張って、今身の回りにいる人たちの信頼を勝ち取ってください。話はそれからです。
- プロフィール
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Haco+
オーナー/Teiji Utsumi
奈良県出身。中学卒業と同時に大阪の美容室で美容師としてのキャリアをスタート。上京し原宿の美容室で経験を積んだのちにロンドンへ。語学学校、ロンドン芸術学院を経て、James Pecisのアシスタントに。有名写真家とともに、Burberry, Mulberry, Maison Margiela, Issey Miyake, Paul Smith Hugo Boss.など名だたるクライアントの仕事を担う。Vogue US、Vogue Russia、Dazed and Confused、i-D、Document Journal、Luncheon、Purple、Reedition、Replica などのメディアでも活躍。なお2020年からHACO+のオーナーとしてビジネスを展開。ロンドンと東京に店舗を構える。
Instagram:@teijiutsumi
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)