22歳で代表に。「若いからこそ沢山経験することによって失敗は最小限になる」|池田充聴さんにインタビュー
理想は背中で語るリーダー。だけど現実は「押し上げ型のリーダー」がベスト
-池田さんが目指す職場環境は?
規律の中で自由に動ける職場環境を目指しています。前日の勤務時間が長かったら、翌日空きが出たタイミングでスタッフに休憩してもらったり、合間に携帯でブログやSNSの更新をさせたり、柔軟に動いてもらっています。
-アシスタントさんの意見も積極的に取り入れているんですか?
はい。常に勉強の機会があるので、勉強会のときに経験をもちろん積んでいますが、多少の失敗は許容範囲です。失敗するかもしれない、でもチャレンジすることに価値があるんです。だから僕は「失敗するかもしれないけど、やってみたら?」と言いますね。さっきも言いましたが、やっぱり自分で失敗を経験しないとわからないことって多いんです。そして失敗したら、僕が「なんで失敗したのか?」とアシスタントと話し合い、次に活かせるようにフォローしています。SNSも自由にやってもらっていて、今のアシスタントはTwitterのフォロワーが5,000人ぐらいいますね。でも一言言わせていただけば、お客さまへの失敗は許されないですね。プロフェッショナルですから。
-若さゆえの失敗はありましたか?
これまでに3人のアシスタントが辞めていきました。その原因は僕の未熟さゆえでした。アシスタントができないことがあったときに、「なんでできないの?」とつい言ってしまって……。そんなことを言われたら、言われた人は傷ついちゃいますよね。
-その反省を踏まえ、池田さんはどういう風にアシスタントと接しようと改めましたか?
怒らないこと。いかに感情を抑えるかがテーマです。同じ失敗が続いたとしても、5回までは怒らない(笑)。注意をするときも感情的に言わないように気をつけています。
ただ、上に立つ人は怒られて成長するタイプの人だと思うんですよね。雇われる人たちは褒められて伸びるタイプでいいけど、上に立つ人はそれじゃ無理かなと。教育方針としては自発性を重んじて自由にやってもらっているので、新しい店舗ができたら、伸びてきた子にどんどん店長を任せていけたらと思っています。
それに曜子先生から、これからは一人の犠牲者も出してはいけない、どうその人を育てたらいいか考え、人を生かしきって、お店を持てる人材にまで育てて下さいと言われています。
2月にスタッフの一人であるオオハライッセイ君が、ロンドンでのティーチャーズ&ダイレクターズトレーニングコースを修了しました。最終日のカットコンテストで1位を取ったとの連絡も貰いました。ダイレクターとしてGRADUATEを支え、いつかは一人立ちできるように僕と一緒に頑張っています。
-若い池田さんが考える「これからの組織で求められるリーダー像」を聞かせてください。
僕自身は「背中を見せるリーダー」に憧れています。自分が誰よりも動いていて前進している人。そんなリーダーを見ると、自分もがんばらなきゃと思えます。ただ、実際自分が上の立場になって思ったのは、「押し上げ型のリーダー」がベストかもしれないということ。僕ら世代の若い人たちは、リーダーが背中を見せていても積極的に見ようとしないんですよね。その上、体育会系の厳しい教育もダメ。だから「押し上げ型」が適切だと思います。先ほど言ったように、アシスタントが失敗したら失敗の原因を話し合い、フォローをする。上からあれこれ言うのではなく、後ろから見守るようなリーダーがいい。上から怒るだけになっちゃうと、自信をなくしますから。とはいえ僕の指導もまだまだ。よりよいリーダーになれるよう努力し続けていきたいです。
- プロフィール
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GRADUATE
代表/池田 充聴(いけだ あつとし)
国際文化理容美容専門学校 国分寺校卒。都内有名店で1年間のアシスタントを経て、渡英。ヴィダル・サスーンアカデミーの教育を受けた後、ヴィダルサスーンの美容教育コンサルタント・サスーンスクールシップ&サロンシップグローバルコーディネーターの石井曜子先生の力を借りて前途したコンセプトのもとでGRADUATEを任されることに。原宿らしいエッジィなスタイルと鮮やかなカラーリングを得意とするスタイリストとして知られている。
(取材・文/小林 香織 撮影/河合 信幸)