ただ髪の毛を切るわけじゃない。「髪を切る本当の理由」に気づいてあげる

−お客さまとの対話を重視する、米田さんだからこそできた本だと言えますね。

僕もそうですし、GOALDは「髪を切る理由」というのをすごく大切にしているんです。普通だったら、美容室のカウンセリングでここまで聞かないよねってところまで聞く。前髪が邪魔になって勉強に集中できないというお客さまがいたとしたら、なぜそんなに勉強をしているのか、どんな大学に行きたいのか。なぜその大学に行きたいのか、そもそもどういう夢があって大学を目指しているのか。毎回、ここまで掘り下げて聞くんです。その人の背景や想いを知ることで、提案するスタイリングも変わりますし、ポジティブなアドバイスを伝えることだってできますからね。

−なぜそこまで、美容師の枠を超えた対話ができるのでしょう？

本を書いた理由の一つにもつながってくるのですが、自分が学生時代の頃にそういう大人がいてほしかったからです。自分のやりたいことに関して背中を押してくれて、アドバイスをくれるような大人。あの頃の僕がほしかった言葉を、27歳の僕が書いてみようと思ったんですよね。だから、この本は昔の自分に向けてでもあり、あの頃の僕と同じような気持ちを持った若い子たちに向けて書いてあります。

だけど、若い子に限らず、いろんな人に読んでほしいですね。カウンセリングや接客方法を知りたい美容師さんはもちろんですし、若い世代が何を考えているか知りたい大人、親御さんたちにも読んでほしいな、と思っています。

美容師を続けてきたからこそ、この素晴らしい景色が見れた

−この本で、こだわったポイントはどこですか？

今の若い子たちは、何百ページも一気に読むことに慣れていないから、ボリュームを調節してあります。35人のエピソードを１話ずつ分けているので、タイトルで興味を持ったエピソードだけ読んでくれてもいいかな、と。もともと本好きだったこともあって、細かなこだわりを挙げればキリがありません。読みやすいように句読点の位置、漢字の配列やレイアウト、フォントや紙の素材など。一文字一文字に心を込めました。

また、エピソード以外の部分も全部お客さまが関わっているんです。表紙のデザインも、PR用の動画も、中の写真のモデルも、みんなお客さま。今は出版を宣伝するポスターを貼れる場所も、全国各地でお客さまが探してくれているんです。本をつくってくれたのも、広めてくれるのも、お客さま。だから書き終わって最初に、「こんなにも素晴らしい景色を見せてくれてありがとう」って心から思いました。

−本を出版された後の展望はありますか？

この本に限らず、僕の周りにいる素敵な人を、もっと世の中に広めて行きたいなと考えています。輝いている人を紹介するためにも起業したりメディアをつくったり、やれることをやっていきたいです。また、自分自身もずっと心がキレイで、素敵な人でありたい。僕が思う素敵な人っていうのは、素直な人。努力しているのをアピールするのはいやらしいっていう風潮があるけど、がんばっていることに対しては褒められたいですよね。少なくとも、僕は褒められたい（笑）。この本に関しても、「僕は体を壊す寸前まで寝ないでがんばって書いたから買ってね！」って全力でアピールするつもり。努力って美しいし、隠す必要なんてない。がんばっている人が恥ずかしい気持ちになるのはおかしいですよ。そういう意味でいつまでも素直で率直でありたいなと思っています。

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