【siki磯田基徳】店とスタッフを守るために、止まってはいられない!新しいカラージャンルを確立して一躍人気店へと育てた磯田基徳の守り方・攻め方

いいと思うことをやる

 

 

磯田のセミナー依頼はカラーだけではなく、「iPhoneの撮影法を教えてほしい」というリクエストも多い。撮影歴は9年。23歳でdakotaに移って、わりとすぐにスタートさせたというから、かなり早い方だ。

 

「当時はまだ美容業界に撮影のカルチャーもなかったですし、雑誌の影響力が大きい時代。なぜ始めたかというと、dakotaに移ってから、わりと孤独だったんですよ。SHIMAにいた頃は同期もたくさんいて、モデハンもみんなで出かけたりしていたんですけど、自分のお客さんはまだいないですし、小谷さんのアシスタントに日替わりでついても時間がある。それで空いてる時間を有効活用するために撮影を始めたんです。フェイスブックでモデハンをして、2〜3日に一回のペースで作品撮りをしていました」

 

夢中で撮影していたらスケジュール帳がモデル名で埋め尽くされ、顔と名前が一致しなくなったこともあったという。

 

「日曜の夜は、2人撮影もしていました。写真を撮って、まだメジャーではなかったインスタに必死にアップしていたんです。そしたら3カ月後に、ミルボン×Sweetのコンテストでグランプリを受賞できたんですよ。そこがターニングポイントになりましたね」

 

 

そこから注目されるようになり、仕事の幅も広がっていった。経営者になってからも、コツコツと磨き上げた撮影技術でsikiのブランディングに成功。インスタの影響力で、全国的に知名度を上げることもできた。

 

「今はジュニアのうちからインスタを頑張っている子もいるので、お客さんを自力で呼べる子もいます。うちは技術チェックの合格後にすぐデビューできるシステムではなく、3カ月で60万という売上をクリアしたら本デビューなんです。インスタを積極的に使っている子は、2カ月で達成する子もいますよ」

 

sikiでは採用もインスタを使う。新卒も中途もアナウンスをして、DMでやりとりを行い、面接に繋げているのだ。だから早い。とにかくsikiは、スピード感があるのだ。

 

「いわゆる業界のベーシックを僕は改善していきたいんです。例えば、うちでは営業中にアシスタントの入客ができるように一枠設けています。なぜなら営業前や営業後にモデルさんを呼ぶというのは、負担になると思うからです」

 

頭にクエスチョンが出たら、そこにきちんと向き合って柔軟に対応していくのが磯田のスタイル。

SNSで、美容師としては珍しいプライベートを発信するのも、人間性を感じられる発信の方が時代に合っていると思うからだ。

 

「業界的に、結婚していることや子供がいることをあえて発信しない美容師が多いですが、僕はインスタに娘も出しているんです。以前、リクエストQJさんの特集で子供と一緒の撮影をさせていただきましたが、あれ本当に嬉しかったんですよ」

 

そう言って、磯田は優しいパパの顔をのぞかせた。先が見えにくい時代だからこそ、2021年磯田のこれからの選択はますます楽しみだ。

 

インタビューダイジェスト

 

Q: コロナで何が変わりましたか?

経営者として考え方がだいぶ変わりました。スタッフと店を守るために、店にお金をしっかり残すことを考えなきゃいけない。そのためには、競合が多いエリアでブランド価値を守りつつ、どのように進み、次の展開をどうすべきかを真剣に考えました。それでOEMによるオリジナル商品の開発、オンラインサロン、新業種サロン出店の3つを実現させました。今年いろいろ仕掛けたのは、大事なものを守るために止まっていられないからです。

 

Q: 撮影はいつから始めたんですか?

23歳でSHIMAからdakotaに移り、当初は時間があったので撮影を始めました。まだ美容業界に撮影のカルチャーがなかった時代でしたが、フェイスブックでモデハンして2〜3日に一回作品撮りをこなし、まだメジャーではなかったインスタに必死にアップしていました。そしたら3カ月後に、ミルボン×Sweetのコンテストでグランプリを受賞できたんです。そこから注目していただけるようになったので、それがターニングポイントになりました。

 

Q: 仕事で大事にしていることは何ですか?

「思っていることを、素直に嘘なく伝えることは大事にしています。それと、とにかく柔軟でありたいと思っています。sikiを4人でオープンさせた当初は、1店舗でいいと思っていたんですよ。もともと気の合う仲間とおしゃれな空間でおしゃれなスタイルを作り、お客さまを幸せにして楽しく働ければいいという考え方でした。でも、この大切にしていることを守りながら動いていたら、自然と仲間が増えて売上が伸びて、気づいたらスタッフが10倍になっていたんです。

 

 

 

プロフィール

siki
代表/磯田基徳(いそだもとのり)

88年生まれ。埼玉県出身。窪田理容美容専門学校卒業後、都内2店舗を経て2017年、伊藤竜氏と共に『siki』を渋谷にオープン。インスタグラムによるブランディングで一躍人気サロンに育て上げ、今年sikiの隣に『siki factory』をオープン。続いて埼玉・大宮に『type』を、12月には静岡に新しい形のフリーランス美容室『Laundry』を仲間と立ち上げた。コンテストでは数多くのグランプリ受賞歴があり、セミナー講師としても大人気。

 

(文/織田みゆき  撮影/巻嶋翔)

 

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