40代で独立 生涯現役をめざす生粋の美容師 — THE GENERATION 風と雲の美容室 JUNさん —

引き際は美しく

心機一転のスタート

 

 

 退社を決めてから考えたのは、父親のように慕っていた横手氏の顔に、泥を塗るような結末には絶対にしたくないということだ。

 これまでたくさんのスタッフが辞めていったが、きれいな辞め方を成功させた者はいなかった。そこで、円満に退社する姿勢を後輩たちに見せようとJUNは思った。

 「横手さんには、自分のビジョンと独立の理由を話して、これを実現するためにあと何年お店にいればいいですか?と聞いたんです。自分が期限を決めちゃいけないと思ったんですね。自分がいなくなっても大丈夫な状態をつくっておく責任があると思ったので。そしたら、三年いてくれと。辞めることを伝えて三年いるのは、結構大変なんですよ。でも、努力と忍耐の三年と思って、今後の人生に必要なことだと割り切りました」

 筋を通して退社したJUNは二〇十六年一月、二人の子どもの名前から一字ずつ取った「風と雲の美容室」を高円寺に立ち上げる。自宅からすぐの場所だ。オープン初日に届いた一番大きな花は、横手氏からのものだったという。

 「ありがたいことに、表参道時代のお客さまもたくさんきてくださるし、今はかみさんのママ友や子供の同級生もいっぱい来てくれます。子どもウェルカムなサロンがやりたかったので、これは表参道にはない感覚。ビジネス的に言うと、先物買いですよね(笑)。表参道のよさとは違う、地域密着のよさがすごくあるんです」

 現在は、レセプションの妻と、アシスタント二名を育てながらの営業。他のスタイリストを入れるつもりはない。自分が教育してもらったように、自分が教えて育て、伝承していくのがJUNの信念だ。

 「僕、儲けようと思ってないんです。儲けに走ると、ドンと落ちることがある。だから、細く長くやっていって、最後に少しだけポンと上がるのが理想ですね」

  そう言って幸せそうに笑うJUNのサロンには、今日も彼を心から信頼するたくさんのお客さまが来店する。

 

プロフィール
JUN
風と雲の美容室 代表

1973年生まれ。神奈川県出身。地元・小田原のサロンを経て渡英し、ヴィダルサスーンで半年間学ぶ。その後、青山「PHASE」に入社。ディレクターとしてサロンを牽引しながら、雑誌撮影、セミナー講師など幅広く活躍して独立。2016年、高円寺に『風と雲の美容室』をオープンさせる。

 

(このインタビューは、2018年4月号 THE GENERATION next に掲載されました)

 

re-quest/QJ 2018年6月号(5月15日発売)表紙は、Nikiさん!

 

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