【外国人風カラーの先駆者・松村明輝が初登場】最新の海外技術を教えるスクールビジネスの次に仕掛けるのは、常識を覆す人材雇用とサロンビジネス
ブリーチ客はサロンにたった1人。バレイヤージュに注目して全力を注ぐ
僕はバレイヤージュの先駆者として知られていますけど、15年前、初めて海外のバレイヤージュに触れたときは、正直ピンとこなかったんですよ。それは、勤務先サロンの海外研修の一環でフランスへ行き、現地の技術を視察した時のことです。海外の技術だしカッコいいけど、その工程や仕上がりがよく分からないというか。自分自身もまだまだ未熟だったこともあって、日本人の髪だとうまくいかないな…という程度の感想でした。でも、そのあと東京でグラデーションが少しずつ流行り始めて、この流れでハイライトやバレイヤージュの波が来るんじゃないかと先読みしたんです。
同時に、横波パーマも来るかもしれないとも思っていて、独自研究を進めていました。「横波ウェーブパーマ」では特許も取ったんですよ。でも、日本のヘアトレンドはカラーが来ることを肌で感じて、横波ウェーブパーマを一旦やめて完全にバレイヤージュでいこうと思い、すぐに独学でカラー技術を磨き上げました。当時のサロンにはブリーチのお客さまはいなかったですし、正直言うと苦手な分野だったんですが(笑)、カラーの波がくると踏んだのでとことんやろうと。そこから世界各国のバレイヤージュを研究しました。僕が注目したのは中東のお姫様がやるようなバレイヤージュ。日本人はわりと明るい筋を作る傾向があるので、差別化するために逆に影が多いスタイルをやろうと思ったんですよね。
最初の頃は一カ月に3人しかバレイヤージュのお客さまは来ないという状態で、料金も確か13000円で施術していたと思います。しかもインスタグラムで発信してみたら、結構叩かれたんですよ。海外の人から時々連絡が来て、海外の技術を勝手にやらないでくれとか、日本人には合わないからやめろとか。スタッフの反応もあまり良くなくて、そんなに時間がかかる施術を営業中にやられたら困るみたいな雰囲気はありましたね。でも、泉さん(SIGN代表)などを筆頭にバレイヤージュが爆発的な人気を得て、結果をどんどん出せるようになっていきました。
郊外からの発信を強化する目的で、技術者を増やすためにスクールを創設
僕は都心ではなく郊外の柏から発信しているので、とにかく同士をたくさん生み出して認知を広げたいという思いがあり、7年前にブリーチ専門スクールを作りました。ただ、ある程度まで広がると今度は飽きられてしまうので、また次の新しいスタイルを見つけないといけないですよね。なので、スクールでは海外の最新技術を自分なりに解釈して日本人向けに改良し、それを教えるということをやっています。
技術は限定せず、エアータッチやシャドールーツなど全て習得できるようなカリキュラムにしています。選択項目は外国人風、K-POP風、韓国風パーマ、チャイボーグと分かれているので、それを最初に選んでいただくスタイル。全国7箇所で運営していて、先月は仙台で教えてきました。スクール業を通して、サロンワーク発信から「人を育てること」に時間を注ぐようになり、今はスクール以外にもサロンと契約して半年ベースでスタッフを育成したり、マンツーマンで美容師さんに技術を教えたりもしています。
最近は業界にスクールが飽和してきたので、教え方をパーソナルに変え始めていて。クローズしていた情報を開示することが主流になってきているので、逆に1対1とか、会社と契約して限定的に教えていくスタイルが今は新しいかなと。飽和したら、違うことをしたいんですよね。時代と共に自分の行動もアップデートしたいですし、そこに意味があると考えています。オンラインサロンも飽和したので、去年やめてしまいました。人と直接向き合う方が好きということもありますし、技術を教えることはできても、それを根付かせるのはなかなか難しい。身になるまで付き添えるかというと、なかなか納得いく形でできないことにもどかしさを感じていました。
>次の挑戦は自分のサロンをつくり、年齢や人種の壁を超える求人をしたい