美容師としての人生と、プライベートの自分の人生。分けて考えられますか？　両方とも自分のもの。別々に考えるのは、難しいのではないでしょうか。それでは両方ひっくるめて、どんな人生にしていきたいか考えたことはありますか？　東京・原宿の『Gallica』では、この「人生」というちょっと壮大なテーマに、スタッフみんなが向き合う取り組みをしています。

美容師として成長するうえで、なぜ人生について考えることが大切なのか。オーナーの中村飛鳥（なかむらあすか）さんが、スタッフのためにつくったという「未来設計ワークシート」をもとに、美容師の人生設計について考えていきましょう。

あなたの人生の目的は？　を考える6枚のワークシート

—Gallicaにはスタッフ全員が取り組む「未来設計ワークシート」というものがあるそうですが、それっていったいなんですか？

スタッフに自分の人生の夢、目的を考えてもらうために、僕がつくった書き込み式のワークシートです。6枚のシートになっていて、それに書き込んでいきながら、自分の人生の目的と、それを叶えるための目標、そのためにやることや、考えるべき事に気付いてもらう、というものです。

＜6種類のワークシート＞

1、人生の目的

2、項目リスト（これからの人生で経験したいこと、体験したいおと、出会ってみたい人、行ってみたい場所、持ってみたいものを思いつき限り書く）

3、夢・人生のピラミッド

4、今月の達成目標（TO DO）

5、将来的な達成目標

6、年間計画表

1人ひとりファイルをつくって、毎月、書き足したり見返したりするようにしています。

中村さん自作のワークシート。何を書けばいいかがわかりやすい項目立てと、書き足しながら使っていくために余白の多いつくりが特徴。

—どうしてこのようなワークシートをつくろうと思われたのですか？

もともとは自分が似たようなことをやっていたんです。昔読んだ本の中に、目標を紙に書き出した人は、書かなかった人全員の合計所得よりも、所得が高いというアメリカの研究結果があって、「よし、書き出そう」と（笑）

それに加えてサロンをオープンさせる前に、さまざまな勉強会に通っていたのですが、その中でも同じようなワークを行う機会が多々ありました。こういったワークを機に、新たな気づきを得たり、人生を変化させていく人を目の当たりにして、これは自分だけじゃなくて、スタッフもやったほうがいいなと思ったんです。変わった人たちを見ると、確実に経験した後のほうが楽しそうで、ポジティブになっていましたから。

—中村さんご自身は、もともと立てていた未来計画を前倒しで達成できているのですよね。

サロンに関しては今のところできています。オープンしたときは、3年目に拡張移転し、スタッフを10人にと書いていましたが、2年目で拡張移転ができて、もうすぐスタッフも10人になります。

書いたことだけが達成できた理由ではないですが、少なくとも書く事で意識的になれたし、何をするべきかかが見えて準備ができました。

—サロンで使っているワークシートは、中村さんのオリジナルということですが、どのようにしてつくったのですか？

勉強会で取り組んだものや、本を読んだりして、さまざまな会社のやり方を参考にしながらつくっていきました。

シンプルにわかりやすくするには、どうしたらいいかはすごく考えましたね。枚数はありますが、基本的には「目的」があって、それを叶えるための「目標」があって、じゃあそのために「何をするか」を考えるという、シンプルな仕組みにできたと思っています。

＞サロン教育で、人生を語る必要性