58歳で美容師に!! 元営業マン藤田巌さんの「大」転職人生
2度も試験に落ちた後に合格。合格を知ったときは目に涙が…
-インターンを経て、いよいよ免許取得の実技試験を受けることになりますね。
3回目でやっと受かったんです。受かったというより、拾われたという感じでしたが(笑)。当時は、女性のウィッグにロッドを巻く試験がありましてね。20分で60本以上。1本20秒で巻く計算です。ペーパー1枚でも落としたら時間オーバーで不合格という、大変厳しいものでした。
1回目の試験のときは、スタートの声を聞いたとたん頭が真っ白に。2回目もダメで、もう諦めようかなと思ったのですが、そのとき「男なら頑張れ、一度決めたことはやり通せ!」という言葉が、心の中から聞こえまして。その言葉を聞いた瞬間から、よし、もう一回頑張ろう、と奮起をしました。
3回目の挑戦の前は、試験の3週間前から学校で特訓をしました。ロッドの入った大きなカバンを駅のロッカーに入れて会社に行き、会社が終わったあと学校に行く毎日。「今日が人生で一番若いんだ。今サボったら夢は叶えられない」という気持ちで頑張りました。
そして試験当日、全てのロッドを巻くことができたんです。心の中でガッツポーズしましたね。合格発表日、日本理美容センターの入口前に合格者が張り出されるのを見に行きました。自分の番号を見たときは、涙が止まりませんでした。そうして通信教育に入学してから6年。56歳で美容師資格を取ることができました。
-サラリーマンと美容学生の二足のわらじは、相当な大変だったと思います。なぜ、そこまでがんばれたのでしょうか。
「失敗してもいい。駄目でもともと」という気持ちでチャレンジしてきたのが、今までの人生だったんです。そのチャレンジ精神で、ホノルルマラソンは2015年までに18回も挑戦しましたし、富士山も12年間、登頂しています。挑戦しているときは辛いですが、達成したあとには充実感と感動がある。感動は人を成長させてくれるという気持ちで、美容師にもチャレンジしました。