easy punk考案・ヌマタユウト直撃!MERICAN BARBERSHOP TYOオープンから1年。渋谷から発信する神戸発ネオクラシックなバーバー文化
「人と違うことを」クリエイティブ能力が開花
——神戸に1年、そのあとは福岡店にオープニングスタッフとして異動されましたね。
そうです。それも面白い流れだったんですけど、神戸店在籍時代に「ZINE(冊子)を作りたいんですよ」って社長に話したんです。MERICAN BARBERSHOPの本質やカルチャーを形として残しておきたくて。ちょうどそのタイミングで、MERICAN BARBERSHOPの技術本とスタイルブックの発売も予定していたんですよね。ZINEのディレクションに加え、スタイルブックのプロデュースを担当するチャンスをもらったんです。構成から起用モデル、ファッション、シーン、その理由などをすべてまとめて提案したところ、採用されました。その流れで福岡の店舗の立ち上げも任せていただいて、今のクリエイティブディレクターに繋がった形です。
——クリエイティブセンスがメリケンで開花したんですね。ものづくりは昔から得意だったんですか?
ビジュアルづくりのアンテナは、わりと突出している方かなと思っています。従来の白背景のヘアスタイル写真は、申し訳ないけど僕はつまらないと思っていたんですね。外に出て動きのあるシーンを撮ればいいのに…と。こうした方がもっと面白いとか、そういうビジュアル観点は売れない頃からよく考えてました。福岡店のコンセプトは”speak easy”なんですが、アメリカの禁酒法時代に流行った「もぐり酒場」をイメージしています。表からは全くわからないのですが、階段を降りると地下にヘアサロンがあります。さらにサロンフロアの奥の扉を開けるとバー空間が広がっています。おかげさまで、すごく流行ってるんですよ。
——それは面白いお店ですね。ヌマタさんは、個人的にも福岡にお店をお持ちとか。
WELLNESS BARBERSHOPというバーバーを経営しています。ここのお店は自由と責任をベースにおいて、個々のスタッフが主体的に動いてやってくれています。難しい事もあると思うのですが、たくましくやってくれていますね。あとは福岡の文化が面白くて好きなのと、ゼロイチをやってみたかったというのもあります。
完全に独立するという道を選ばなかったのは、俺なりの信念があったからです。一般的に、独立してしまうと、前の職場と関係が途絶えてしまいます。でも自分がMERICAN BARBERSHOPにいながら、福岡のサロンを運営することができれば、両方にとっていい効果があると思って。今まで前例のなかった挑戦ができれば、当たり前がひっくりかえって、多様な未来をスタッフに見せられるんじゃないなと。そんなことをMERICAN BARBERSHOPの社長に話しました。即答でいいよって。やばいですよね!笑
人と違うことを、っていうのは常に考えてますね。売れなかった10年間、孤立していた中で感覚的にも研ぎ澄まされたのかなって思ってますけど。
——高校サッカー部の無料ヘアカットもされていますよね。それもメディアで話題になりました。
それは3年前にスタートしたんですけど、僕がそうやって積極的に動くことでメリケンに注目が集まりますし、僕自身サッカーをずっとやってきて恩返しをしたいっていう気持ちがあって。福岡店で、飯塚高校サッカー部のヘアカットを毎月無料でサポートしています。スポーツ選手は影響力が強いじゃないですか。僕にとってのスターは、サッカー選手なんです。彼らは狭き門を努力でくぐり抜けてきて、観衆の前でプレイしますよね。影響力があるからこそ、ファッションも髪型もかっこよくいてほしいんですよ。
海外の選手は見た目がビジネスに繋がることをわかっているので、ワールドカップの試合中もホテルでカットして期間中は1mmもフェードが伸びてないんですね。それくらい見た目を意識することが大切、っていうのを伝えたくて活動を始めました。髪型は、彼らが望むスタイルにしています。メリケンのキャッチコピーは「LOOK GOOD,FEEL GOOD, PLAY GOOD(見た目がよくなると心がよくなり、いいプレイができる)」なんですけど、実際に彼らは全国大会に行って結果を出しているんです。親御さんたちも喜んでくれてますよ。昨年からは、メーカーさんと「部活ヘアサロン」企画のスペシャルサポーターとして動いていて、いろんな学校で活動しています。