【独立セオリー】SHACHUの人気スタイリストが夫婦で独立! 「世界で一番応援しているよ」と祝福を受けた「HELMi」誕生物語
SHACHUブランドではない自分たちのもとにお客さまがくるか不安だった
manami:内装費や運転資金は日本政策金融公庫から融資していただきました。その審査がなかなか大変で、持っていった事業計画書が突っ込まれるので手直しして再度交渉したりして時間がかかりました。お金が必要なタイミングまでに融資が間に合うか不安でしたね。
しかも融資額にも限度があるので、運用資金がやや不足していたんです。そこを信用金庫さんに相談して出していただき、あとは自分たちの貯蓄を崩して賄いました。お金って大事ですよね。
tomo:内装はできるだけシンプル&ナチュラルにしました。
manami:植物もいっぱいです。でも予算の関係で、最初のイメージと全く同じというわけではありません。でも、ゆったりとしたつくりになっているから、オープンしたらSHACHUにきてくれていたお客さまも喜んでくださると思っていました。
一方で、「SHACHUの中で活躍するmanamiとtomoが好き」という人もいるかもしれないという気持ちもありました。SHACHUはブランド力があるけれど、私たちにはまだ何もない。それでも、本当に自分を求めている人がきてくださると信じて待つことしかできなかったです。
オープン5日前くらいにボイラーがつかないことがわかり、しかも修理に1カ月くらいかかると言われてかなり焦ったことも…!予約も入っているからオープン日はずらせません。なんとかするために内装屋さんや不動産屋さんに協力してもらい、片っ端から業者さんに連絡をして、なんとかすぐに変えてもらえる業者さんを見つけて、オープン前に修理することができました。思わぬ出費でしたが、協力してくださったみなさんに感謝です。
オープン当日に感じた「美容師サイコー!」という気持ち
manami:サロン名の「HELMi」はフィンランド語で真珠の意味です。真珠には、『純粋・健康・長寿・富・円満・完成』といった宝石言葉があるんですよ。また、困難を克服し、美に変える・創造性と言う意味も含まれていて、自分たちが目指す方向性にもあっているような気がしました。名前の候補はこれ以外も10個くらいあって、めちゃくちゃ悩んだんですがどれもピンとこなくて。3文字くらいで響きもかわいくて、ロゴもオシャレになりそうなのが「HELMi」かなと。
tomo:ロゴのデザインをしてくれる方はInstagramで見つけました。iの部分が真珠のモチーフとなっていて、手書き感も可愛いですし、とても気に入っています!良心的な価格で、本当に素晴らしいロゴデザインをして頂きました!
manami:オープン当日は、無理のないペースで予約を入れていたので、無事終えることができました。ただSHACHUのセット面に慣れていたので、やりづらさはありましたね。
tomo:ありがたいことに営業の合間合間にお花を持ってきてくださる方がいて、ちょっとバタバタはしましたが、事故はなかったです。
manami:オープンまでの方が大変で。2週間ぶりに美容師をしたので「美容師サイコー!」と思いながらやりました。ちなみに、最初にご来店されたお客さまが、お店の入り口の前で「どうしよう!第一号だなんて、そんな気軽に入れない!」と泣いてしまって…。それを見て私も、「ありがとう!私まで泣きそう!!」と。泣くほど喜んでくださるお客さまがいることに、本当に嬉しくて幸せな気持ちになりました。美容師をやっていて、独立をして、本当に良かったと思いながら最初の施術をスタートしました。
tomo:初日はお祝いをたくさんしてもらって嬉しかったし、楽しかった記憶しかないですね。予約のペースを押さえているから、ドリンクやお菓子にもこだわる余裕ができましたし。
manami:付加価値としてドリンクやお菓子にもこだわりたいと思っています。おうちのように寛ぐといったら大袈裟かもしれないけれど、ホッとできる空間にしたいと思っていて。
お客さまに他にないおもてなしをするのも楽しいです。本当はカフェを併設したりできたらいいんですけれど、それはなかなか難しいみたいで。いつかできたらいいんですけれど。
tomo:SHACHU時代のお客さまもたくさんきてくださっています。想像していたよりも、安定した売上を作ることができました。
manami:「良かった。これでお店を続けていくことができる!」と思いました。やっぱり少し不安だったので。やってみないとわからないことが多いですから。お客さまの中には「最初から最後まで担当してもらえるのが本当に嬉しい」とか、「え、本当に一人で担当してくれるんですか?超贅沢なんですけど!」とか言ってくれる方もいて良かったなと思っています。マンツーマンなので緊張せずにこられるというお客さまも多いですね。
理想サロンをつくるために前々から貯金をしておこう!
manami:オープンから4カ月くらい経ちました。今は充実しているものの、「1年後どうなっているのかな」とか、「いつまでも夫婦2人だけで営業していくのは無理があるかな」とか考えることはあります。中途採用をして1年、2年かけて育てて、自分がいない間にも頑張ってもらうとか、考えています。けれど、その子の人生に関わる問題じゃないですか。
そう考えると慎重になってしまって。そこが悩みですね。しかも、夫婦のサロンに入って働くのって、友達同士で経営しているサロンに入るのとまた違うじゃないですか。入った子がコミュニケーションしにくいとかそういう問題もあるかなと思っています。まだ時間がかかるかもしれないですが、新しく入った子も楽しく働ける準備ができたら、迎え入れたいです。
tomo:これから独立する人にアドバイスをするとしたら、貯金は大事だということです。やはり貯金の額は信用と同じなので、いくらあるかで借りられる額も変わります。お金が借りられなくて理想のサロンをつくれないこともあるし、思わぬ出費もあるから早くから準備をしておいた方がいいです。
もう一つは一人での独立はめちゃくちゃ大変だということです。僕たちは夫婦で役割分担をしたから、無事オープンできたし、今まで順調にこられたのだと思っています。
manami:夫婦でそれぞれ得意不得意があるから、お互いの得意なところを任せてやれたのも大きかったよね。4年間付き合って、喧嘩もなかったので一緒にいてストレスにならない相手と独立することも大事だと思います。
色々お話ししてきましたけれど、自分たちのサロンに、自分と会うことを目当てにきてくれるお客さまがいるとすごく自信になるし、幸せになります。これから独立する方もぜひ、頑張ってください。
<プロフィール>
tomo
大阪府出身。大阪ベルェベル美容専門学校。表参道の有名店を経て、SHACHU入社。2021年10月に独立し、mamaniさんとHELMiを立ち上げる。透明感のあるブリーチカラーや大人女性向けハイトーンカラー・ペールカラーが得意。
Instagram:tomo__616
manami
福島県出身。福島県高等理容美容学院卒業。東京・原宿のサロンに勤務したのち、2016年よりSHACHU(東京・渋谷)に入社。2021年10月に独立。ハイライト、ハイトーン、カラフルなデザインカラーを得意としている。
Instagram:manax_x
(文/外山武史 撮影/金田裕平)
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