自分たちが考える理想の環境は、自分たちの手でつくるしかない ‐freera/高安 亮介さん‐
明確なビジョンや大義名分のない独立は失敗する
2019年までは経営と美容師の二足のわらじを履いていましたが、2020年からは経営に軸足を置くようになりました。1、2店舗みるだけならサロンワークしながらでも大丈夫ですが、2019年にヘッドスパの店舗をつくるなどして経営に関連する業務が増えてきたからです。
この決断ができたのは、相方の阿部の存在も大きいですね。彼がサロンワークのスペシャリストなので、僕が経営に注力できるんですよ。阿部とはずっと「もし経営に失敗してもゼロから何度でも勝負できる」って話しています。自分たちに技術も人間力もなかったら、リスクは負えないけれど、もう1回ゼロからでも集客できると思えるから、どんどんチャレンジできるんですよ。そして、今は自分がハサミを握ることよりも、スタッフの活躍する場をつくることが自分の役目だと思っています。
僕は独立したことに後悔していませんが、スタッフたちには独立しないほうがいいと伝えています。経営者として、強い組織をつくっていきたい人ならともかく、今の環境に不満があるとか、マイナスの理由ではじめてもうまくいかないと思うんですよね。個人経営で小規模の店舗をやりたいならそれでもいいかもしれませんが、スタッフを増やして組織化して事業を大きくしていくのは大変です。
ちなみに、僕は人に指示されるのが好きではないので、もともと経営者向きだったのかなと思います。それに僕たちにはビジョンがありました。明確なビジョンや大義名分がないまま独立してうまくいかないケースを見てきているので、まずは今働いているサロンでやりたいことを実現できないか本気で考えたほうがいいですね。その上で、自分や周りを幸せにするためには会社をつくるしかないと感じたのなら、勇気を出して一歩踏み出してみましょう。
プロフィール
freera代表 高安亮介
京都府出身。美容師生活を神戸でスタート。前職のサロンの東京出店のタイミングで上京。マネジャーなどの要職を経て、前職のサロンの先輩だった阿部豊氏と共に独立。表参道にfreeraを立ち上げる。「美に敏感」をモットーに全てのお客様に最高のオシャレ・キレイ・カワイイをプロデュース。サロンワーク、マネージメント、雑誌撮影、ヘアメイク、外部講師、タレント・モデルのヘアケアなど幅広く活動している。
(文/外山武史)