クリエイターが集い、新しい価値を生み出す場所を作りたい ‐Dayt./悠馬さん‐
美容師である前に、魅力ある人間でありたい
23歳でスタイリストになり、27歳で店長になりました。前サロンではロンドンで活動していた経験の持ち主ですし、社員旅行で海外に行くこともありましたから、海外を身近に感じられるサロンでしたね。
次第に「海外で活動したい」という思いが膨らみ、オーナーに「海外に行こうと思っています」と相談すると、「いいよ。でもちょっと下を育てないとね」と。
でも僕は天邪鬼だから、「いいよ」と言われると行かないんですよね。多分「だめだ」って言われたらすぐ行っていたんでしょうけど(笑)。いつか海外に行こうと思って、後輩を育てていたら5年が経ち、「もう32歳じゃん!」と慌てて、「海外に行ってきます」と海外に飛んだんです。
表向きは、半年したら日本に帰ってくる予定でした。でも心の中では「半年で戻りたくなるわけがない。2年くらいは行くでしょ」と思っていましたね。
その当時、業界誌の仕事がたくさんあったのですが、全部断りました。周りの美容師さんも「え、今行くの?」という反応でしたね。美容師としてのキャリアを捨ててでも海外に行こうと思ったのは、僕は美容師である前に、一人の魅力ある人間でありたいと思ったからです。
最初はニュージーランド、その後東南アジアを巡ったんですが、そのころには「もう戻りません」とオーナーに連絡しました。そうしたら「わかった。いいよ」と言ってくださって。きっと海外に行く時点で、僕の気持ちに気づいていたのだと思います。
発展途上国にも、とんでもないセンスの美容師がいる
日本に戻らないという気持ちが固まったのは、海外の美容師と日本の美容師の働き方や文化の違いを感じたことが大きかったです。
日本って島国じゃないですか。だから良くも悪くも自分の文化を大切にしています。日本の技術は丁寧だから世界で重宝されるって言われていますよね。
確かにそれはそうなんですよ。だけど、サロンの色が強いわけではなくて、「人気のあるスタイルをつくります」っていうサロンが多いと思うんですよね。
東南アジアで強く感じたのですが、あっちはサロンの個性が強いんです。雑誌や業界誌に出ている作品も奇抜ですし、発想が自由なんですよね。発展途上国といえど、めちゃくちゃかっこいいものをつくる美容師がたくさんいるんですよ。
井の中の蛙じゃないですけど、このまま日本に戻ってチヤホヤされたとしても意味がないと思ったんですよね。
東南アジアの後は南米、中米、ニューヨークへ行きました。ニューヨークにヘアメイクをしている友人がいて、彼の仕事を手伝ったんですよ。そして、手伝っているときに「あれっ? 俺、美容師やりたいかも」って思ったんです。
その後、アフリカを縦断する予定だったから、エジプト行きのチケットを持っていたんですけど、すぐにでも働きたくて仕方がなくて。一応、エジプトに飛んで、ピラミッドを見たりしたんですが、いてもたってもいられず帰国しました。