世田谷生まれ青山育ちの人気美容師が、アウェイの大阪で独立した理由 ‐MARUCA‐
大阪にも「東京スタイル」を求めているお客さまが大勢いる!
サロンをつくるにあたり、こだわったのは「居心地のよさ」です。入口の解放感や、木の温もりを感じられる素材選び、窓から見える公園の景色など、お客さまがずっと座っていたくなるような空間づくりを心がけました。
僕はサーフィンが好きなので、自分の好みにするなら海辺っぽいテイストにするのもありだったと思います。それをしなかったのは、自己満足より、お客さま満足を追求したかったからです。
サロンは2016年10月にオープンしました。それまで専門学校の2年間、働いた期間15年をあわせて17年間も表参道で過ごしてきたので、大阪では文字通りゼロからのスタートです。ありがたいことに、初月から経営は黒字で、一度も赤字に転落することなく今に至ります。毎週末はいつも満席で、新規のお客さまを取ることが難しくなってきました。スタッフの採用と物件の目途が立ったら2店舗目を出したいと考えているところです。
多くのお客さまに恵まれているのは、比較的近くにショッピングモールや学校があり、人口が増えているエリアという理由があると思います。それに加えて、「東京の技術、東京のセンスを味わいたい」というお客さまが多いことを強く感じますね。
メーカーさんに聞くと、東京と比べると大阪はカラーのトーンが明るく、パーマが強いといいます。それがいいお客さまもいれば、もう少し落ち着いた東京寄りのスタイルが好きという人もいるのです。しかもそれを、玉造という住宅街で味わえるところに価値を感じてくださるのだと思います。
大阪でサロンを出すという話を周りにしたときは、「東京に顧客がたくさんいるのにもったいない」と言われました。たしかに、大阪に移ることで、東京でお世話になったのべ何万人のお客さまと離れることになってしまいました。
それでも僕は、両手いっぱいの大切なものを手放すことで、また新しい宝物をたくさん得られるのだと信じています。実際、東京から大阪へ移ったことで、僕はより多くのお客さまの人生に関わることができます。東京のお客さまも全くのゼロになってしまったわけではなく、何かの用事のついでにサロンにきてくれる人もいます。
独立して2年経ち、美容師にとってこれほど幸せな環境は、ほかにはないんじゃないかと感じています。僕らを支えてくれるみなさんに、心から感謝です。
- プロフィール
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MARUCA
伊藤 隆典 (いとうりゅうすけ)
東京都世田谷区出身。高校・専門学校時代は下北のライブハウスを湧かせるバンドマン。ダメ元で受けたPEEK-A-BOOに入ることができ、美容の道へと進路変更。スタイリストとして力を蓄えた後、佐々木純一氏が立ち上げたLuLu by U-REALMに店長としてオープニングに携わる。同店の店長を経て、DAMIAのエグゼクティブディレクターなど要職を歴任。2016年10月、大阪・玉造に「MARUCA」を立ち上げ現在に至る。
http://maruca-hair.com/
(取材・文/外山武史 撮影/菊池 麻美)