PEEK-A-BOO、U-REALM、DAMIAと都内の人気店でキャリアを重ね、ヘアメイクやセミナー講師、テレビ出演、商品開発などの仕事も手掛けてきた伊藤隆典（いとうりゅうすけ）さん。東京での順風満帆な美容師生活を手放し、大阪・玉造で「MARUCA」というサロンを立ち上げました。

なぜ、独立に有利な東京ではなく、大阪に拠点を移したのか。そして、アウェイとも言える環境で経営がうまくいっているのか尋ねました。

DAMIAのエグゼクティブディレクターをやり切って独立

美容専門学校を卒業して最初に勤めたのはPEEK-A-BOOです。そこで、シャンプーからはじまる全ての仕事において、「プロの厳しさ」や「クオリティを追求する姿勢」を学びました。自分の新しい可能性を求めてU-REALMに移ってからは、美容師としての成功のカタチは一つではないことを知りました。とにかくカラーが上手いとか、似合わせが得意だとか、身近に個性的な美容師がたくさんいたので、考え方の幅を広げることができたと思います。

立ち上げから参加したDAMIAでは、店長、ディレクター、エグゼクティブディレクターといった要職を任せてもらい、サロン全体を見る力を養いました。「似合わせカットとフィニッシュワーク」や「フォトシューティング」などのテーマでセミナーの講師をするようになったのもこのころからです。

そして、DAMIAを経て独立したのですが、もともと僕は独立願望が強い人間ではありません。スタイリストになったころも、お客さまに支持される有名な美容師になりたいという想い一つでした。ただし、心の奥底にうっすらと独立のイメージはあって、「逃げの独立ではなく、勝ち抜いて独立したい」と思っていたんですよ。

だから、もし自分が独立をするなら、そのサロンのトップになってからにしようと決めていました。エグゼクティブディレクターになり、その役目を後輩に譲ることができたので、物件探しや開業資金の準備を始めたのです。

＞「あの場所だったら独立したいね」が現実に。