「最高の準備」がすべての人に祝福される独立に導く -FILMS-
表参道のトレンドサロン「Belle」で店長などの要職を経験後、2017年9月に銀座に「FILMS」を立ち上げた若林紀元(ワカバヤシ ノリモト)さん。若林さん、設楽さん、笠井さんのスリートップ体制でスタートしたサロンは、滑り出しから絶好調。しかも3人とも円満退社だったため、前サロンのオーナーからも温かく祝福されているのだとか。そんな「理想的な独立」を果たすために、どんな準備が必要か教えていただきました。
独立は自分のタイミングで決めるものじゃない
9月1日のオープン当日、Belleのオーナー、飯田、堀之内をはじめ、お世話になったみなさんからいただいたお花をフロアに飾ることができました。この業界、独立をきっかけに働いていたサロンとの関係が途切れることも少なくないと思います。退職によって減る売上の問題、お客さまの問題、引き継ぎの問題など、独立までに対処すべき問題はいろいろありますが、僕はそれらすべてをクリアしてから独立しました。
僕は今32歳で、独立の意思を伝えたのは29歳のころです。準備期間が3年におよびましたが、その間「独立は自分だけのタイミングで決めるものじゃないから」と考えていました。しっかりと、サロンも自分も納得できるタイミングで独立を実現させたかったのです。
サロンで働かせてもらっている間は、そのサロンの発展のために力を尽くすべきだと僕は思います。だからこそ、店長業務の引き継ぎや、後輩の育成など、できることはすべてやってきたつもりです。ありがたかったのは、Belleの二人の代表の言葉。独立の意向を伝えたときも、「そういう時期だよね」と理解を示して、否定的なことは一切言いませんでした。
しかも、お客さまに対して、「FILMS」というサロンを立ち上げる話をしていいと言ってくれたんです。そうした配慮のおかげで、SNSで独立に向けての準備状況を発信することができたし、お客さまとの関係も途切れずにすみました。
FILMSがスリートップ体制でスタートした理由
独立までの間、共同代表の設楽、笠井とは週2日くらい会って話していました。仕事が終わったあとの時間だけではとても足りないので、休日に朝から温泉に行って、夜中の3時、4時までサロンの構想について話し合ったことも…温泉に浸かっている間もずっとしゃべりっぱなし(笑)。
なぜスリートップにこだわったのかというと、僕は設楽と笠井の人間性に惹かれて、一緒にサロンをやりたいと思っていたから。そして、お互いの得意分野を持ち寄れば、相乗効果を発揮できる確信があったからです。
たとえば、笠井は経営数字に強いので経理関係のことを担当してもらっています。設楽は教育が得意なので、FILMSのスタッフ育成の中心的な役割です。僕は、前職で培った広報や人事の経験を活かしています。また、自分たちですべてをこなさなきゃいけないスタート時だからこそ、あらかじめ組織図を作成し、役割、責任の所在を明確にし、組織化することが大事だと考えました。
3人とも育ってきた環境も違えば、仕事の進め方も考え方も違います。でも、僕は「だからこそいい」と思うんです。素晴らしい考え方、仕事の進め方を知るきっかけになるし、新しい視点が見つかることもある。ときには、意見が食い違うことがあっても、それが新しい発見につながる。
それに何があっても、「美容師としてだけではなく人として豊かに生きることができる環境をつくりたい。その環境が人材を呼び、トップサロンへと近づく」という大きなビジョンに向かって行くことには変わりありません。
そして、3人でやれば1人よりも大きな仕事ができます。銀座という好立地で、新築物件に入ることができたのも、3人で出店資金を集めることができたから。新規開業は融資条件が厳しいこともあり、物件紹介を渋る不動産屋さんもいます。でも僕らは契約金の準備がすでにあったので、話を優位に進めることができました。ちなみに内装は設楽の知人を介して、業者さんを見つけました。3人いるからその分、人脈も広いんです。
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