「世界にひとつ」と胸を張れるサロンの作り方 -go ⓢ go(ゴーズゴー)-
「go ⓢ go」と「(e)」という珍しい店名のサロンを原宿、吉祥寺で3店舗展開している迫川孝(さこがわたかし)さん。どの店も一癖あるけれど、親しみやすい雰囲気が満点。熱烈なファンを抱えています。今回は迫川さんに、個性のある店の作り方の一部を明かしていただきました。
辞書に意味が載っているサロン名にしたくない
店名を考えるときに僕が考えたのは、「辞書に載っているような言葉は嫌だな」ということ。世界にひとつしかなく、しかも、できるだけ簡単なほうがいいということで、いろいろと考えた結果、「go ⓢ go」に決定しました。「go」は前向きに進んで行きたいという想い。「s」にはsmileとかsimpleとか、頭文字が「s」の言葉の意味を込めている造語です。
吉祥寺にある「(e)(カッコイー)」という店名は…まあ、シャレですよね(笑)。こちらも、カッコイーという意味だけでなく、enjoyとかenergyなどのポジティブなメッセージが「e」に込められているんですよ。
サロンのコンセプトも「窓」「どこでもドア」「木、石、金属の融合」と3店舗それぞれに個性があります。例えば、原宿店の「窓」の場合。窓から外を眺めると、鳥が飛んでいたり、桜が咲いていたり、雪が降っていたりするのを眺めることができますよね。今度は窓の外から建物の中を見ると、部屋を掃除している人がいたり、昼寝をしている人が見えたりする。いろんな観点があって、見えるものも違います。窓というフィルターを通して見たときの素材としての髪を、よりよいものにしたいという想いが根っこにあるのです。
店舗を作りながらお店のコンセプトを考える人がほとんどだと思うんですけど、僕の場合はコンセプトありき。しかも、女性の美に寄ったものではありません。そんな背景もあってか、男性のお客さまも「非常に」ではなく、「異常に」多いんです(笑)。だからみんなメンズカットが得意なんですよ。
スタッフ育成と店舗のこだわりを両立させる
オリジナルであることには徹底的にこだわっているので、販促サイト用などのちょっとした撮影のときも、必ずひと手間入れるようにしています。「髪を切りたくない」というモデルさんにも、「前髪2㎜でもいいから」と言って切らせてもらう。もしくは毛先だけでもパーマをしてアクセントを出してみる。どのスタッフも、モデルさんと交渉してサロンの色を出すようにしているのです。「らしさ」を出せないなら、ウチがやる意味がないですから。
実を言うと、僕一人のサロンなら、口コミや紹介だけでやりたい。ホームページとか集客するための販促サイトなども使いたくありません。そのほうが、サロン「らしさ」を出せるし、贔屓にしてくれるお客さまにとって特別なサロンでありつづけられるからです。でも、それだけだとスタッフは困るんですよね。
スタイリストになりたての子には、新規のお客さまが必要。カットモデルから広げていける人もいるけど、そうじゃない人もいる。みんなで成長するためには、集客ツールが欠かせないわけです。昔、大切なスタッフの退職を経験して、こだわりとスタッフ育成のバランスが必要だと気づかされました。
一人より二人、二人より三人。仲間がいるほうが強いお店になります。アリだって大群になれば、象を倒すこともできるかもしれない。人それぞれ、得意なところもあれば、苦手なところもある。そこをうまく組み合わせて、ウチにしかないサロンの色を出していきたいですね。
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