百年に一度の不況下に生まれた“普通じゃない”サロン -代官山Door -
いろんなヤツが混ざって化学反応を起こすのが面白い
紆余曲折を経て、2009年5月に元RITZのエノキモトジュンとDoorをオープンさせました。私とエノキモトの2人が共同で代表を務めると言ったとき、周りから「そんなの絶対失敗するから」と言われたんです。でも僕は絶対王政のサロンこそ傾きやすいと思っていました。それに、いろんなヤツが混ざり合って化学反応を起こしていったほうが面白いじゃないですか。僕とエノキモトは思考や物事へのアプローチの仕方は正反対と言っていいかもしれない。でも、ウマは合う。だからいいんです。
店名のDoor(ドゥーア)のDには、deuxとかdualの意味も込められています。ウチは代表が二人いるだけでなく、店長的な動きをする人間も、アシスタントリーダー的な人間も二人ずついるんですね。ライバルと切磋琢磨しながら、みんなで成長の階段を登っていけるサロンを目指しているんです。僕は寂しがり屋だし、RITZで分業制を推し進めてきた人間だから、一人ではとてもサロンワークはできません。これから5年後も、10年後も、ガヤガヤした雰囲気のなかでやっていきたいんですよ。
美容師としては26年経験があって、それなりに目立つこともしてきたかもしれませんが、経営者としては最初に勤めた会社で3店舗を管理した経験を含めても10年足らずの小僧です。お客さまが主役で、自分たちは黒子に徹するという美容師の原点を忘れることなく、謙虚にやっていきたいですね。
- プロフィール
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Door
代表 吉澤 剛(よしざわ つよし)
http://door-daikanyama.jp/dr/index.html
美容、理容のWライセンスを取得。1990年、都内サロンにて美容師としてのキャリアをスタート。28歳でRITZ入社。在職中に著書『フレーミングカット』を出版。(フレーミングカットは特許庁にて商標登録済み)2009年、エノキモトジュン氏と共同で代官山にDoorを設立。セミナー講師として全国各地を回るなどサロン外でも精力的に活動中。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)