美容師だって2枚目の名刺を持つ時代!? DJとしてCDデビューを果たしたMINX知念さんに聞く、サロンも認める課外活動への取り組み方
「2枚目の名刺」という言葉、最近よく耳にしますよね。仕事以外にもうひとつ、本気で取り組む物事や、楽しいと思える場を持つことで人生をより豊かにしようという世の中の流れ。忙しい美容師にもそんな人生は可能でしょうか? ましてオーナーや先輩たちからも、応援してもらう方法とは?
今回は、美容師業に本気で取り組みながら、DJ活動も続けてきたMINX・知念弘行(ちねんひろゆき)さんの、課外活動への取り組み方に迫ります。だって知念さん、今年の4月にあの老舗レコード会社、マンハッタンレコードからミックスCDの発売まで果たしちゃった人なのです。
完全に美容師目線で選曲したミックスCDをリリース
-まずはこの4月に発売されたMIX CDについてお話を聞かせてください。どんなCDなのでしょうか?
美容室のBGMに合うというコンセプトで選曲したCDです。高校生からDJを始め、入社半年後くらいから今までサロンのBGMを選ぶ係をやってきた僕なりの、美容師目線での選曲になっています。DJ活動はDJ Hi-6と(ヒロ)いう名前で行っているのですが、このCDは美容師・知念弘行として選曲をしたミックスです。
爽やかで気持ちいいの感じに仕上がっているので、営業中はもちろん、朝の通勤中や休日の朝などにかけてもらってもいいなと思っています。
-ジャンルとしてはどんな音楽が入っているのでしょうか。
爽やか系ディスコやポップス、R&Bなどでミックスしました。選曲にあたってはレコード会社の意向もあったので、初めて聞く曲の中から選んだりもしましたが、イメージとしては僕が普段サロンで流している選曲をそのままCDにした感じです。
僕が美容師になった頃、美容室のBGMはハウスが主流で「MINX」でもハウスが流れていました。ハウスのビート感って、確かに美容師の仕事のテンポに合うんですよ。でもお客さまの心地良さを第一優先に考えると、ちょっと違うんじゃないのかなというのを感じていて。自分が担当するようになってから、ラウンジミュージックやピアノやギターだけの曲などを選ぶようにしました。
はじめはもっと明るいほうがいいよと言われたりしたんですけれど、押し通して今にいたるという感じです。リラックスした気持ちや会話を邪魔しない、心地よい音楽をというのがねらいでした。
-CDデビューはどんな経緯で実現にいたったのでしょうか?
CDを出させてくださったマンハッタンレコードさんとの出会いは10年前。サロンのBGMを任され始めた頃、普通のCD屋さんやレコード屋さんに売っていなさそうな音楽を探して毎月のように通っていたのがきっかけです。サロンにはどんなBGMが合うか相談したり、視聴させていただいたりしているうちに仲良くなって、いつか一緒にやりたいねという話をしていたのですが、まさかそれが実現するとは(笑)。
-CDをつくる話が来た時はどんな気持ちでしたか?
いや、本当にまさかと思っていたので……。美容師でCDを出すなんて聞いたことないじゃないですか。あと本気でDJを仕事にされている方たちに失礼なのではとも思い、決断にはかなり勇気が必要でした。
ただ美容師を始めて10年経ちましたし、新しいことをやって美容の世界にも何か影響を与える人になれたらという気持ちもありました。美容師をやりながらDJをしているというのも、最近だとわりと普通のことになってきてしまっている感じもあったので……。
−CDを出すにあたってサロン側とはどんな話し合いをされたのでしょうか。
実は実現には至らなかったのですが、これの前にも似たような話をいただいたことがあって。そのときに、企画がすべて形になった状態で相談してと言われたんです。そうじゃないとGOも出せないからって。それで今回は、レコード会社とかなり話を詰めて後にサロン側に相談をしました。いろいろな会議で議題にあげられたようですが、わりとスムーズにGOを出してもらえて感謝しています。
「MINX」としても、サロンの美容師をより多くの人に知ってもらう働きかけに力を入れているところだったので、喜んでもらえたというのもあるのかもしれません。あと美容師ってすごく忙しいイメージがありますよね。でも美容師をしながらこういうこともできるんだよ、夢のある仕事なんだよ、というのを、僕がCDを出すことによって、美容師を目指す若い人たちに伝えられたらという考えもあったと聞いています。僕としても、そういうきっかけになれたら本当にうれしいです。