サロンワークはいつまで可能? 助産師に聞く美容師と出産

妊娠中の美容師が注意すべきは、お腹の張りと足のむくみ

 

-美容師の日々のサロンワークは、妊婦の身体にどのように影響するのでしょうか?

<長時間の立ち仕事>

立っているときは産道が下を向き、重力の働きで赤ちゃんがお腹の下の方に下がるため、それが長時間続くと切迫早産になりやすくなります。ただ立っているだけでもお腹は張りやすくなるので、空き時間を見つけたら頻繁に座ること。さらに張りを感じるときは横になるのをおすすめします。また、美容師さんは立ち仕事で足がむくみやすいので、仕事中に加圧ストッキングなどを履いたり、休憩時にふくらはぎのリンパマッサージをするといいでしょう。

 

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<朝早くから夜遅くまでの長時間勤務>

やはり長時間勤務、特に夜間の仕事はおすすめできません。1日の疲れが溜まってくる夕方からが一番お腹が張るので、できれば早めに上がらせてもらうといいと思います。

 

<薬剤を使うこと>

ヘアカラー剤などの薬剤は、仮に手に付いても洗えば問題はないのですが、意外と盲点なのが匂いです。薬剤には匂いが強いものも多くありますよね。妊婦さんは本当に匂いに敏感で、薬剤の匂いで気分が悪くなってしまうことがあるかと思いますので、その点は気をつけましょう。

 

仕事はいつもの7割くらいにセーブする

 

-日々の疲れを溜めていると妊婦にどう影響するのでしょうか?

疲れてくると足がむくんだり、腰痛になったりするのですが、特に妊婦さんが注意しなければいけないのは血圧が上がってくること。赤ちゃんは、へその緒を通して栄養や酸素を取り込むのですが、血圧が上がると、へその緒を通る血流が悪くなってしまい、赤ちゃんの成長が滞ってしまうのです。睡眠不足やストレスも血圧を上げる原因なので、リラックスをするために、アロマオイルをハンカチに少量つけて香ったり、ハーブティーを飲んだりするといいと思います。疲れは溜めると体力がなくなり、出産のときに陣痛が長引いたりするので、仕事はいつもの7割くらいにセーブして、「疲れた」と感じる前に仕事を終えるようにしましょう。

 

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血圧の上昇が辞め時のサイン

 

-出産を控える美容師はいつまで仕事を続けてよいのでしょうか?

母性保護規定では、労働をしていいのは32週までと決まっているのですが、例えば個人経営だとギリギリまで働く方もいますよね。そういう方が個人の感覚で仕事の辞めどきを判断するとしたら、自身の血圧を基準に考えてみるといいでしょう。例えば、血圧の数値の上が140、下が90近くなってきたらドクターストップがかかると思います。今は自分で簡単に測れる血圧計も売っているので、普段から血圧は測っておくのをおすすめします。また、妊婦検診で尿にたんぱく質が混じっていることがわかったら、それは腎臓に負担がかかっているということなので、それも仕事の辞めどきだと思います。

 

忙しさのなかでも栄養の摂取を意識する

 

-最後に、妊娠中の美容師に向けてアドバイスをお願いいたします。

美容師さんは基本立ち仕事なので、仕事中はお腹の下に骨盤ベルトを巻いて腰を固定するのをおすすめします。それから、忙しいとお昼ご飯を食べる時間も短いと思いますが、そうしたときもなるべく塩分の多いカップラーメンなどのジャンクフードは避けること。甘いものが食べたくなったときも、コンビニのスイーツに含まれる白砂糖は身体を冷やすのであまり食べ過ぎないようにしたり、チョコレートやスナック菓子の代わりに、ミネラルや鉄分を含むドライフルーツやナッツを食べるといいでしょう。

 

妊婦さんの体調への影響はもちろん、「あまり無理をすると、逆にお客さまに気を遣わせてしまうこともあるかもしれません」と浅井さん。妊娠中もしばらく仕事を続ける場合は、なるべく身体に負荷のかからない仕事に切り替えるなど、まず身体への気遣いを最優先に考えるようにしましょう。

 

プロフィール
フリー助産師・マタニティーアロマセラピスト

浅井貴子(あさい たかこ)

大学病院、未熟児センター勤務の後、現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、新生児訪問などを行う。妊婦さん対象の「プレママ★アロマ教室」を開講し、安全な精油の使い方や自然な出産方法の提案を行う傍ら、マタニティ専用サロン、ベビーマッサージ教室を主催。また、助産師のメディカル知識を活かした、妊婦水泳&マタニティーアクアビクスの専門家でもある。

公式HP>http://www.mid-wife.info

 

 

(取材/文・阿部夕華)

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