人気サロンがイチオシする「美容師ブレイクスルー白書2020」。 第8回目は、美容の枠に止まらず、快進撃を続ける新世代のリーダー syn代表、齋藤 正太さん
スタッフを叱る教育は時代遅れだし、本質的ではない
基本的に僕は、自分と肩を並べる技術レベルがないうちは、自分のお客さまに入客させたくありません。ホスピタリティについても同じで、僕以上のものがない人間に、お客さまを担当させるのは無責任だと思っているんですよね。
だから、どうしたらお客さまに心地の良い空間を提供できるようになるのかをよく考えて、一瞬一瞬の表情、立ち居振る舞い、言葉遣いなど、細かいところまでしつこいくらいに教えてきました。
「話が盛り上がっても、お客さまを遮って話しちゃダメだよ」「お客さまのお見送りのとき、振り返るのが早すぎたと思うよ」とか、お客さまに最大限の満足を与えられるのか、徹底的に考えてもらえるように促しています。
synでは明確な信頼関係ができるまでは、年下でも敬語を使うのが当たり前です。僕らはお客さまがいるから、髪を切ることができます。どれだけ忙しくなっても、絶対に変えてはいけないポリシーです。
技術でも接客でも何かを教えるときは、WABNePO(ワブネポ)を意識しています。Wはwhoの意味で、AがA地点、BがB地点という意味なんですけど、ようは誰かをAからBへ連れていくために導くことが教育だと考えています。Neはネガティブ、POはポジティブという意味なのですが、B地点に行く上で、ネガティブな情報とポジティブな情報を考えておこうという意味なんですね。
たとえば、お客さまに丁寧な対応ができないと、お客さまの信頼を得られないし、売上も伸びないし、いいことが起こらないわけです。その反対に、丁寧に、笑顔で対応することによって、お客さまの信頼を得られるし、自分自身も脳内ホルモンが出て楽しくなってきます。お客さまはより幸せになり、自分も人気の美容師になれる。そういうことを考える機会をつくることが大事なんです。
感情的に叱りつけることはもってのほか。必要な情報を与えつつ、スタッフが目指す目的地まで伴走することが教育だと考えているんですよ。
synのテーマは「信」から「進」へ
改めて振り返ってみて、2019年を漢字一文字で表すとしたら「信」ですね。お客さまとスタッフ、関係者の皆さんにどれだけの信頼を積み重ねられるかを考えた1年間でした。目先の数字よりも、信頼が第一だというのはこれからも変わらない真理だと思います。
2020年のテーマは「進」。どちらの漢字もシンであり、サロン名のsyn(シン)と同じです。1年間で貯めた信頼を基盤として、どんどん攻めていきたいと思っています。お客さま、スタッフ、モデル、メーカーやメディアの方など、関わってくれている人たちと一緒に突き進んでいきたいです。
これからメーカーさんとのコラボで新しい薬剤を開発するなど、新しいことにもチャレンジしていきたいと考えています。パーマなどのセミナーのご依頼も増えてきているので、ただ単に技術を伝えるだけではなく、自分と同じようなお客さま本位のマインドの持ち主を増やしていきたいですね。
そうして、共感してくれた人たちを集めていきたいという想いもあります。今はコロナウィルスで大変ですが、落ち着いたら全国いろいろなエリアでセミナーを開催し、僕の想いを届けたいですね。
>立ち止まったら下がる一方…人生は下りのエレベーターと同じだ