目指すは“シロウト芸能人”! 美容師の芸能人化で美容師を憧れの職業にしたい「美容師ブレイクスルー白書2020」。第2回Beleza/内藤流成さん

人生で初めてネガティブなことを考えたロンドン留学

 

 

Q ロンドンへの留学も大きな経験だったと思うのですが、いかがでしたか?

 

A 生産性だけじゃない、人間として大切なことを持ち帰ってきた

 

以前のインタビューでも少しお話しましたが、留学するのは技術を高めることが一番の目的で、それ以外のことはあまり考えていなかったんです。

でも実際に行ってみると、精神面でものすごく変化したというか、考え方が180度変わった感じなんです。

 

 

具体的には、授業でわからないことがあったときに、日本人ってどうしても周りの出方を待ってから反応することが多いですよね。「わからないことがあるけど、だれも質問していないから聞くのをやめておこう」とか「ここで手を上げて質問したらどう思われるかな?」とか考えることが多いと思うのですが、他の国の人はまったく違います。わからないことはすぐに手を挙げて聞きますし、説明がわからなかったりカットの実技がうまくできなかったりして泣いている人もいる。ものすごく反応がストレートなんですよ。「自分が周りにどう思われるか」を気にしない行動パターンの人と接して、がんばっている人を冷笑したりバカにしたりする態度を取る日本の文化はどうなのかな、と考えさせられました。ひいてはそれが、自分自身の価値や確固たる自分とは何かというのを改めて探すきっかけになりました。

 

 

もちろん、日本には礼節や謙虚さなどいいところがたくさんあるし、他の国とは文化がまったく違うので、自分がいいと思ったところだけ自分のものにしたい。技術も人柄も、自分というのを築き上げるスタートラインに立ったような感覚です。

 

実は、ロンドン滞在中は、SNSでは「楽しんでいます」と投稿していましたが、ナイーブになることもすごく多かったです。今までの人生でネガティブなことを考えることはなかったのですが、ネガティブなこともたくさん考えました。例えば、ロンドンは建築物も日本とはまったく違うわけで、伝統と洗練を併せ持ったこの建物に囲まれて過ごしてきた人が美容師になったら、相当いいデザインを作れるはず。そう考えると打ちのめされてしまって。

 

 

台湾から来た21歳の留学生に、「流成はスマホに支配されている」と指摘されたこともありました。「スマホじゃなくて、そのとき、目の前にあるものと向き合うんだよ」って。これまでは、「寝ずに動画編集」とか「片時もスマホを離さずSNSに投稿」と言っていましたが、いき過ぎると、そのときにしか味わえない時間や空間を感じ取れず、人間性を失ってしまう。そんな美容師ではいつかは限界がきてしまうと感じました。生産性を高めることは重要だけど、すべてにおいてそれが先に来てしまう人間ってすごく寂しいですよね。それに気付くことができたというのが大きかったです。今では、食事の時にはスマホを持ち歩かなくなったくらいです。

 

 

>これからもっと成長するための足場固めの1年にしたい

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