「異国で働くことは美容師人生に大きな糧を与えてくれる」ブラジルで働くDOMI河野泰吾さんが語る海外で働くということ

海外で挑戦してみて失敗したら日本に戻ればいいんです

 

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-ブラジルのお客さまが好むヘアスタイルはどんなものですか?

 

まず女性はストレートでロングスタイル。男性のお客さまは床屋で仕上げるような肌が透けるくらい短いカットが好まれますね。

 

-ブラジルのお客さまから喜ばれる“日本式おもてなし”はありますか?

 

サロンがいつも清潔に保たれていることですね。そしてサービスを終える時間をきちんと守ること。というのもブラジル人は時間にルーズで、遅れても謝らないですし、そのことを気にかけもしないので(笑)、こちらがきちんと対応すると喜ばれますね。逆にお客さまが時間に遅れたとしても、イヤな顔をせずに接することが大切。そして来店したらキスをしてハグが鉄則です。好まれないサービスは、熱めのお湯を使用すること。これは嫌がられました。

 

-ブラジルで働き始めて日本とココが違うな、と思う部分がありましたら教えてください。

 

給料の払い方に大きな違いがあるな、と思いました。日本は「固定+歩合制」が多いのですが、こちらでは「完全歩合制」を取り入れています。スタイリストが売り上げた分の50%から40%が手取り給料になり、そこから材料費(カラー、パーマ液代)を引くサロンもあります。

 

-ブラジルで接客をする際に大切にしていることはありますか?

 

ご来店されたときとお帰りの際にキスすることですね(笑)。

 

-スキンシップを取ることを心がけているんですね。河野さんが海外で働かれたことで分かった日本の美容業界の“いいところ”と“悪いところ”があればお教えください。

 

“いいところ”は技術の基礎がしっかりしていることですね。これはすごい! 一方で“悪いところ”は、いくら売り上げても給料がなかなか上がらない環境があること。近隣のサロンとお客さまの取り合いになってしまうこと。そしてミーティングが多く、また上下関係が厳しいところですね。現在は変わったのかもしれませんが、僕が日本で働いていたときは、先輩が帰るまで後輩が帰れないという風習がありました。これは止めた方がいいと僕は思います。

 

-どれくらいのレベルの美容師さんなら海外で通用すると思いますか?

 

どの国で働きたいかにもよりますが、月に100万円以上の売り上げがある美容師さんなら、海外のどこでも基本的にはやっていけると思いますよ。

 

-では最後に海外で働きたいと思っている美容師さんへメッセージをお願いします。

 

「海外で働きたいけど異国で働くのが怖い…」と悩んでいる方は、是非トライしてみてください。もし挑戦してみて「できない」となったら日本に戻ればいいだけですから。なぜなら自分の知らない国で働き生活するという経験は人生に大きな財産を与えてくれるからです。海外に行くべきかどうか、と悩んだら自分の胸のうちに問いかけてみてください。まっさきに浮かんだその答えが正解です。

 

プロフィール
DOMI

代表/河野 泰吾(かわの たいご)

東京でのサロン勤務後にニューヨークにあるVijinへ。1年の経験を経て、日本へ帰国しVijinの西宮支店での勤務をスタートさせる。ニューヨークで出会った奥さまの故郷ブラジルのサンパウロで2012年から働き始め、2014年にDOMIをオープンさせる。

 

(取材・文/QJナビ編集部  写真提供/河野泰吾さん)

 

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