「カットが嫌い」。美容師として致命的な弱点を克服してエースに―MINX佐々木千紘さんの働く理由
カット技術を克服して、不安を払拭! お客さまの信頼を得られる
25歳でデビューしてから約2年、売上が伸び悩みました。だけど、カットに対する苦手意識が原因だとは思っていなかったんです。一生懸命やっているはずなのに、どうしていいのかわからず「このままじゃダメだ」と焦るばかり。先輩は30歳を過ぎて売上がとても上がっている人もいるのですが、私は自分が今以上に売上が上がる気がせず、「30歳までには何とかしないと」と思っていました。そこで、何がダメなのかを改めて考えたときに、はじめてカットを克服しないとダメだと気づいたんです。
そんなとき、岡村によるカットレッスンのメンバーに選ばれました。それはデビューしてから伸び悩んでいるスタイリストが基礎を学び直すために行われるレッスン。そこで一からカットを学び直しました。レッスンはハードでしたが、デビューから2年も売上が上がっていない状況だったので、「難しくても、わからないことがなくなるまでちゃんとやろう」と、アシスタント時代とはまったく違うスタンスで臨みました。営業後も休みの日も時間さえあれば練習していましね。カットに不安を覚えなくなるまでには2年もの期間が必要でしたが、不安を克服した今は、技術に対する不安はありません。
以前は自信がなくてできなかった次回のご提案も現在は積極的にしています。例えば、顎くらいの長さのショートにしたら、先に「1ヵ月~1ヵ月半くらいで正面から見たときに、襟足が見えて長さが気になると思います。その部分をきれいにするために切りにきてください」と伝えたり。次回のご提案はカットの技術を身につけないと予想ができないので、説明もできません。きちんと説明できるようになってからは、「襟足が気になったので、きました」など、お伝えした通りリピートしてくださる方もいて、お客さまに信頼してもらえているような気がするんです。
昔は、新規できてくださる方は作品を見てこられていましたが、現在はおおよそ7割の方がお客さまのご紹介。私のことを信頼してくださり、お客さまの大切なご家族やご友人をご紹介してもらえるのは、本当にうれしいです。
カットの苦手意識を克服したことで、カットの技術が上がり、店外活動に参加させていただく機会も増えました。ショーや撮影などの店外活動をしていることは、サロンワークの提案の幅の広がりにつながっています。
例えば、お客さまはブリーチ1度のみでできると思っていても、3回ブリーチしないとお客さまのやりたいカラーにならないとします。そのときお客さまのやりたいカラーへの一番近道を説明するために「今日やるなら施術はこれで、このくらいの時間と、このくらいの料金が必要です」と伝えた上で、「ちょっとずつハイライトを入れていって、長い目でみて半年くらいきていただいたら、このカラーにできます」と伝えるんです。
クリエイティブなことをそのままサロンワークに落とすのは難しいのですが、デザインを変えればサロンに落とし込めることもあります。そういうアイデアを蓄えることで、オーダーに対して「絶対にこうしましょう」と言うのではなく、お客さまに3パターンほど考える余地を与える提案ができるようになりました。
もちろん、髪質的に難しい場合はお断りするのですが、お断りする中で他の提案ができるようになったと思うんです。カットが苦手なときは無理なのに施術しないのが申し訳なくて、やったりすることもあったのですが、逆に無理をさせない提案をできるようになりました。
>大変なほうが好き! カットを克服しサロンワークが大好きになった佐々木さんの目標とは?