「5分で人を幸せにしろ」怒らない教育を受け継ぎ目指すもの―LONESS目澤沙友里さんの働く理由
ただ会いにきてもらえるような美容師になりたい
私自身が本田にしてもらったように、私もスタッフのいいところを伸ばしたいと思っています。例えば、失敗を繰り返してしまう子がいたとき、怒るのではなく「私はできなかったときは、こうしてたよ」とアドバイスします。そして、その後には必ず褒める。みんな大切なスタッフなので、萎縮しないように怒り過ぎず、でも大切なことに気づいてもらえるようにアドバイスをすることを心がけています。
近い将来の目標は、スタイリスト3年目になるときに、今の売上からプラス150万くらいにすること。月150人くらい増やしたいと思っています。本田には、「自分のアイコンになる人を作りなさい」と言われているんです。例えば、本田でいうと、泉里香ちゃんのような存在。技術やスタイルも大事ですが、芸能人の方に信頼されているということは、その芸能人が好きなお客さまも来店してくれます。そういうお客さまを作れるようにInstagramを充実させたり、紹介してもらったりしています。
あと、2〜3年後くらいには結婚したいと思っているんです。美容師は結婚してもずっと続けていける仕事。LONESSでは、まだ子どもを産んでいるスタイリストはいないので、私や、表参道店の女性トップスタイリストである原が、そういう基盤を作っていければと思っています。そのために、今からしっかり売上を上げて、ヘアメイクとしての基盤を作っておけば復帰したときに、自分が働きやすい環境になるはずです。
夢は、この人に会うと疲れがとれる、この人に会うと癒されると思われる美容師になること。専門学校の先生から、「私が美容師だったときは、施術をしなくても、お客さまが私に会いにきてくれたこともあったんだよ」という話を聞かされたことがあるんです。ヘアサロンは、女性がきれいになりに行く場所だと思っていましが、それだけではなくて話をしに行く場所でもあるんだと思いました。
友だちではないし、親でもないけれど、その人のことを一番わかってあげられる存在。とくに女性ってそういう人が必要ですよね。男性に話せないことでも、女性の私にだから話せる。そういう存在になりたいです。そのためにしているのが、どんな話題にもついていけるように知識を増やすこと。美味しいごはん屋さんめぐりをしたり、大学生の男の子にもついていけるようにアニメや漫画を読んだり、海外ドラマを観たり。いつでも動いていたい性分なのですが、月1回くらいはあえて家で何もしないでアニメを観たり、ぼーっとしたりする時間を作るようにしていて、それが今、至福の時間ですね。
- プロフィール
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LONESS
スタイリスト/目澤沙友里(めざわさゆり)
高校を卒業後、札幌美容専門学校に入学。apishで本田治彦氏のメインアシスタントを5年ほど務めたあと、LONESSの立ち上げと同時に転職。銀座や丸の内で働く女性でも挑戦できる透明感のあるカラーリングや扱いやすいレイヤーカットなどに定評がある。
(取材・文/池山章子 撮影/河合信幸)