8年のアシスタント時代。先の見えない状況を乗り越え、遂に開花! ―Double肥沼未帆さんの働く理由
入社から8年。ゴールの見えないアシスタント時代を越え、突然のデビュー
HEARTS/ Doubleに入社した同期は20人。競争率も高い中で選ばれた人たちが集まったので、気の強い人が多かったように思います。お互いのミスを指摘し合ったり、営業後に反省点を言い合ったりしていて、まるで厳しい部活のようでした。
今となってはアシスタント経験が長くてよかったと思うのですが、私、スタイリストデビューに8年間かかったんです。
自分の技術や経験が至らなかったこともありますが、今よりデビューに時間がかかる時代だったんです。アシスタントのうちに経験値を貯め、どんなお客さまにも対応できる技術や人間性を持つために長い時間がかかり、耐えられずに辞めていった同期も多くいました。転職した同期が他のサロンに移ってすぐスタイリストデビューした、という話を聞いたり、専門学校の同級生の中には店長などの役職に就いている人がいたり…。アシスタントとして学んできた技術や人間性で負けている気はしなかったけど、同級生はデビューした後の経験値があるのに私にはない。劣等感にさいなまれ、先の見えない状況の中でもがいていました。
ただ消化できない気持ちがあった一方で、「劣等感を引きずっていても仕方ない、とにかく今はやり続けるしかない」と思っていたんです。それは自分の考えをブレさせたくなかったから。辞めたくない気持ちがなかったと言うと嘘になりますが、厳しいと知っていて入社したので、自分の選んだ道を諦めたくなかったんです。
スタイリストデビューしたのは、デビューのためのカリキュラムをクリアしてから、さらに2年が経ったある日のことでした。「今月、デビューだから」と、急に伝えられて(笑)。いきなりのことだったので、待ち望んでいたはずなのに「え? どうしよう。何から準備したらいいの?」と、うれしさよりも動揺が大きかったです。
いざデビューしてみると、お客さまを自分が担当するという責任を感じ、今までできていたことが急にできなくなってしまいました。以前は、初めてのお客さまとも上手くしゃべれたのに、話が続かず途切れてしまったり。先輩スタイリストについていたときも、自分の行動一つで失客するかもしれないという意識は持っていたのですが、失敗しても先輩が助けてくれるという安心感がどこかにあったのかもしれません。
また強く感じたのが“定価”をもらうプレッシャーです。私がデビューしたときはスタイリストの料金が同一だったので、「私が店長と同じ価格をいただいていいのかな。私なんかよりずっと技術がある店長にやってもらったほうがいいんだろうな」と思ってしまうことも多く、技術者としての責務の重さを実感じました。
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