“業界誌に出ない美容師”bloc山本洋史さんに訊く、サロンワーク以外の仕事の取捨選択

考え方と行動次第でやりたいことをする時間もお金も生み出せる

 

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忙しいなかで、どうやってサロンワーク以外の仕事をしているのですか?

 

撮影のときは、ヘアさえ作ればあとはメイクさんが仕上げてくれて、カメラマンさんが撮ってくれる。その間、僕は次のスタイルを作る。それって、サロンワークでアシスタントがシャンプーしてくれているのと一緒。ひとりで全部やっているわけじゃなくて、振り逃げが多いんです。サボリ上手(笑)。役割分担が決まっているから、やることやって、あとは投げちゃえばそんなに大変じゃない。信頼できる仲間がいればね。

 

カットウィッグに置き換えると、濡れた髪をカットして仕上げるまで20分で切れれば、1時間が60分だから3個ウィッグが切れる。8時間労働なら濡れた髪から24人のお客さまをカットから仕上げまでできます。営業中は、髪をドライしてもらっている間に、別のお客さんのカットやカラーチェックができる。そうすれば1時間に4~5人やることは何の苦でもありません。忙しい月とそうでもない月とで差がありますが、今は大体月400~700人のお客さまを担当しています。

 

たまに目にする “初めから終わりまで全部やることが美容師としての誇りです” 的なことをいう美容師がいるけど、僕からすれば、それは売れない美容師の言い訳にしか聞こえない。大半がね(笑)。それで満足しているならそれでいいけれど、考え方と行動次第で、いくらでもやりたいことをする時間も表現する時間も生み出せると思うんです。

 

こうしたサロンワーク以外の活動は、お店にどんなメリットをもたらしていますか?

 

うちの若いアシスタントたちに刺激を与えられているんじゃないかな、と。そこがメリットかも。ほかの美容師に「blocどうなの?」って聞かれたときに、たとえば写真集の表紙に中島美嘉ちゃん出てくれていれば、「何で出てもらえるの?」って反応はもらえると思いますし、シュワルツコフのアンバサダーに選ばれたって話せば「業界ギライ(で知られる山本)がアンバサダー?」とか、何かしら反応してもらえると思うんです(笑)。僕が活動的に、何かやろうとしている意識も伝わったのかなとは思います。興味のあることや世界観を表現してないサロンオーナーが多いから、僕が楽しんでいることをスタッフたちが少しでも誇りに思ってもらえたらうれしいですね。お客さまにとっても、ほかのサロンと比べる材料のひとつになるかなと。

 

―blocの今後の展開は?

 

今年は各地でセミナー開催を予定しています。それ以上のことは企業秘密(笑)。

 

プロフィール
bloc/代表
山本 洋史(やまもと ひろし)

さまざまなジャンルが共存する現代の中で、ファッション、伝統、文化を大切に考え、次世代につなげていける団体でありたいという理念のもと、2001年に『bloc』を発足。その独創的な世界観と絶妙なバランス感覚で、性別、年齢、職業問わず、多くのお客さまを魅了し続けている。ファッション、音楽業界の著名人からの信頼も厚く多くのクライアントを抱え、LOUIS VUITTON シティガイド 東京 2016にもサロンが掲載される。2016年にシュワルツコフプロフェッショナルアンバサダー日本代表に就任。同年6月に写真集『HAIR』を発売予定。

 

(取材・文/坂井 あやの<verb>  撮影/当山 礼子)

 

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