“業界誌に出ない美容師”bloc山本洋史さんに訊く、サロンワーク以外の仕事の取捨選択

フラストレーションを抱えた美容師の発散の場に、業界誌がなってしまっている

 

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山本さんといえば、美容業界誌や業界人向けセミナーなどへの露出がほとんどありませんが、それはなぜですか?

 

偉そうに思われるかもしれませんが、出たいと思えるようなものがないからです。たとえば、『VOGUEに憧れて一生懸命がんばる』とかあるじゃないですか。そう考えると、僕にとって業界誌に素敵だと思えるものがない。だから、そこに時間を費やすことが無駄以外の何者でもないんです。

 

うちなんかよりずっと売れてるサロンはあるけど、そこのサロンのお客さまは似たような髪型ばかりでコンサバなスタイルばかり作っていると仮定します。シンプルな髪型を否定するワケじゃないけれど、そこのサロンで働いている美容師たちの中には、アート系やファッション系のスタイルを作りたいという人もいる。そういうフラストレーションを抱えた美容師たちの表現の場に、業界誌がなってしまっているように思えるんです。でなければ、業界誌なんてやってる暇ないし、そういう自己満足に、僕は協力したくないだけ。

 

それに、僕のお客さまは美容師じゃない。よその美容師はライバルなわけです。それなのに、同業者にスタイルを見せてレシピまで載せるだなんて、なんのための本なのかさっぱりわからない。というワケです。

 

なるほど。ところで、1月にシュワルツコフプロフェッショナルのアンバサダーとしてドイツに行かれたそうですが、なぜこのオファーは引き受けたのでしょうか?

 

ギャラが良かったからです(笑)。

 

ストレートですね(笑)。ちなみに、ドイツでの仕事の内容は?

 

シュワルツコフに任命された世界各国のアンバサダーがドイツに集合し、日本からは3人が選ばれ、そのひとりとして参加してきました。前回はなぜか僕しか日本人がいませんでしたが(笑)。内容は、シュワルツコフが提案するカラーリングについてディスカッションしたり、その手順を共有するための講習が行われたりなど。僕の役割は、上海でアジアの美容師向けにセミナーを行ない、ドイツで共有したシュワルツコフが発信したいスタイルを広めていくというものでした。僕個人のデザイン云々というものは全くなく、インフルエンサーのような立場。サロンワークとは全く違うし、やるべきことがはっきりしていたので、ひとつの仕事として参加しました。

 

海外での活動でなにか得たものはありましたか?

 

ヴィダルサスーンのトップクリエイティブをドイツに招いてのセミナーが行なわれたのですが、僕、ヴィダルサスーン上がりが売りの美容師が大嫌いで、その技術がどんなもんか一回見てみたかったんですよね。正直、カット技術はそんなに大したことなかった(苦笑)。でも自分の技術レベルを再確認できたことは収穫でしたね。それと、ひとつのスタイルを提案するにあたって、芸大の教授を呼んでこのスタイルはいつの時代のどこそこで生まれて、こんな流行があって…と背景をめちゃくちゃ掘り下げて結論づけていくのが面白かったですね。そうやってヨーロッパのブランドを育てているんだなとも思ったし、そのブランディングの手法はとても興味深かったし発見でした。

 

 

>売れたきゃ振り逃げ上手になれ!

 

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